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 僕は小さい頃「自分もいつか必ず死ぬんだ」と初めて知った時に「だったら何で生きないといけないんだろう?」と考えたことがあります。ずっと考え続けて「人間は自分が幸せにしたい存在を幸せにするために生きている」という結論に達しました。幸せにしたい対象は家族や友人でもいいし、自分自身でもいい。生き物でなくても例えば地球環境とかだっていいのです。  でも僕はもう自分自身を幸せにしようと思えなくなってしまいました。家族とも疎遠なので親孝行したいともあまり思いません。学生時代にいじめに遭って、社会に出てからも他の人と同じ様には働けなくて、自分が本当に嫌いになってしまいました。  僕は捨てられる犬や猫のために働きたいと思ってドッグトレーニングの学校に通っていたことがあります。「こんな自分でもかわいそうな動物たちの役に立てば何か意味があるかも知れない」と思ったんです。真面目に勉強しましたが、どこか地に足がついていませんでした。犬とも人とも繋がりが感じられず、自分一人別の世界にいるようでした。ドッグトレーニングは犬との繋がりが大事なので、そんなことでは勤まらないのです。 結局その学校も辞めてしまい、ただのダメな自分に逆戻りしてしまいました。何の成長もなく、同じ失敗の繰り返しです。自分一人ではもう無理だと思い、クロスジョブのお世話になることにしました。  毎日行く所があって、やる事があって、話せる人がいるというのはいいものです。整髪料を付けてそれっぽい服を着て決まった時間の電車に乗るのです。まともな人間になったように錯覚できます。 クロスジョブで訓練を受けたからといって病気が治るわけじゃないし、障碍が消えるわけでもありません。そのまんまです。体力を消耗しない分、家に居た方がまだ長生きできるかも知れません。 でも何かが前進しているような気はします。緘黙にならなければ、いじめに遭わなければ、あったかも知れないまともな人生。そういう健常な未来からはかけ離れてしまいましたが、少なくとも以前のようには自暴自棄になっていません。  9月の11日に「クロスジョブ3年継続就業者表彰式」という催しが開かれました。名前のとおり、クロスジョブから就職して3年間働き続けられた人を表彰するものです。3年も継続できた人々も立派でしたが、日曜日に大変な労力を費やしてこんなイベントを開いてくれたスタッフの方々に驚きました。平日の仕事だけでも大変なのに、疲れたことだろうと思います。 繰り返しになりますが、障碍も病気も消えてはくれません。それでも毎日利用者が就労できるように、働き続けられるように頑張ってくれる人達がいるなら、少なくともその人たちが助けてくれた分は働けるように努力しよう、自分を幸せにしようと思えます。