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先週の土曜日、福岡県大牟田市で表題のシンポジウムが開催されました。 1963年に起こった三池炭鉱での事故により、839名の作業員の方々が一酸化中毒になり、ほぼ全ての方々が高次脳機能障害となってしまいました。 当時は高次脳機能障害が広く知られておらず、大変多くの方々が翻弄されたとお聞きしております。 その事故の教訓を忘れてはならない、との思いで立ち上がった勇士の方々が連絡会を作り、現在までに約20年で10回のシンポジウムを開催されてきました。 今回は、福岡県立障がい者リハビリテーションセンターの作業療法士、牟田様よりお声掛けいただいて参加させていただきました。   第一部は、福岡県障がい者リハビリテーションセンター、センター長の永吉美砂子先生により講演「高次脳機能障害のリハビリテーションについて」が行われました。 第二部は、大阪高槻市の山口クリニック院長の山口研一郎先生による講演と、お二人の先生方によるセッションが開催されました。   高次脳機能障害のリハビリテーションについての研修では、 遂行機能障害は、注意障害に時間軸がついたものであると言う表現や、県立リハビリテーションセンターへの入所の期間は、ご本人がリハビリテーションに打ち込むだけでなく、急性発症により、状況が変わってしまったご家族が受け入れの体制を整えるための心の準備をする期間など、新たな視点でのお話があり、大変勉強になりました。 また、後半のセッションでは、長い間高次脳機能障害に翻弄されてきた当事者やご家族の取り組みについて説明がありました。近年、高次脳機能障害者支援法という法案を成立させようという動きに奔走されている先生のお話がありました。これは発達障害者支援法と言う法案が可決された後、広く障害が認知されるようになり、社会でも受け入れられやすくなった例と同じように、高次脳機能障害で苦しむ方々に対してもより良い支援を届けるための、非常に意味のある活動であると言う報告がありました。 例えば、軽度外傷性脳損傷(MTBI)と言う広く認知されていない疾患によって苦しめられている方々もたくさんいらっしゃいます。 ※軽度外傷性脳損傷 MTBI(Mild Traumatic Brain Injury)とは、外傷によって頭を打った、もしくは打っていなくても、体を打った衝撃で、脳の損傷をきたすことをいいます。軽度とは受傷時の衝撃を意味し、高次脳の症状が軽度という意味ではありません。 受傷時に意識晴明で体は動くので、救急搬送されないことが多いです。1〜2ヶ月後、記憶や注意機能低下などの影響により次第に仕事上でのミスや対人関係上での違和感が生じ、ご本人もどういう状況なのか全く理解できない、また受診に行ってもMRIやCTで脳の病変が検出されにくいため、今もなお、診断を受けたり障害年金を申請したりするのに、大変なご苦労をされている方々がたくさんいらっしゃいます。 法案の成立によって、高次脳機能障害というものが日本中で広く認知され、今も苦しまれている方々の一助になれば、と私も考えております。   事務局長で大牟田吉野病院の理学療法士、伊藤憲一様ともご挨拶をさせていただき、今後、オンライングループワークへご招待させていただきたい旨をお話ししたところ、快諾いただきました。 微力ではありますが、少しでもお力になれればと考えております。   以上を以て、報告という形にさせていただきます。お読みいただき、ありがとうございました。