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こんにちは、砂川です。   3月10日(金)、3月11日(土)の2日間、大妻女子大学で行われた【CEF2023~質の高い障害者雇用を考える会議~(Conference of Employment First2023)】に参加しましたのでご報告です。   厚生労働省は、2023年1月18日に第123回労働政策審議会 障害者雇用分科会を開催し、企業に義務付けられている障害者の法定雇用率を、現状の2.3%から段階的に2.7%まで引き上げる方針を発表しました。雇用率は右肩あがりですが、雇用率の達成だけを目指した「就職ありき」「雇用ありき」の障害者雇用にならないよう、障害者雇用の中身、質を高めていくための議論が本会議の目的でした。   厚労省の行政説明では、「今後の障害者雇用施策の充実強化について(概要①)」の報告が行われ、【1.雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化】として「障害者の活躍促進のため、事業主に対し、キャリア形成の支援を含め、適切な雇用管理をより一層積極的に行うことを求める」とありました。 国の姿勢としても障害者雇用の達成だけを目指すのではなく、障害のある人が企業で活躍するための支援を打ち出すことを重視しており、3月11日(土)のプログラムでは特例子会社4社が登壇するプログラムで「企業の立場から雇用と福祉との連携を考える」の報告も行われています。 支援者の立場としては、就職後のフォローアップや職場定着支援において、雇用継続の視点だけではなく、障害のある人が仕事を通じて人生を豊かにするためのサポートの視点を持つことが求められると考えます。     また、【3.多様な障害の就労ニーズを踏まえた働き方の推進】として「雇用義務の対象になっていない週所定労働時間10時間以上20時間未満の重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者の就労機会の拡大のため、これらの障害者を事業主が雇用した場合に、特例的な扱いとして、実雇用率に算定できるようにする」とありました。 ただし、国の考えとしては10時間~20時間で働く層を増やしたい訳ではなく、「20時間以上の働き方を積極的に応援する姿勢は変わらない」とのこと。また、10時間~20時間の働き方を受け入れる企業のイメージとして、「中小企業・0人雇用企業」を考えているそうで、今まで障害者雇用にチャレンジしていない、または、チャレンジしても上手くいかなかった企業の雇用スタートの“とっかかり”としての制度設計であると理解しました。     「障害者雇用相談援助助成金(仮称)」の新設も行われます。これは中小企業などが障害者雇用の最初の一歩を踏み出すためのサポートに関する助成金で、労働局が認定した事業所が対象となるとのことでした。サポート内容としては、業務切り出しや現場の理解育成などで、普段我々が行っている企業支援(企業開拓)と通ずるところがあります。 少し意外だったのは、認定事業所は特例子会社も含まれるそうで、親会社への出向・転籍のサポートが成功した場合、この助成金の対象になるとのことでした。特例子会社が認定事業所に含まれる意味としては、「特例子会社をなくしたい訳ではないが、特例子会社を巨大化させることはNOである」とのメッセージが込められているそうです。 法改正にむけた議論は引き続き動向を見守っていきます。     3月11日(土)のお昼休みには【支援のチップス「ちょっと聞いてよ、わたしの話」】という企画もあり、お一人5分間ずつの報告会がありました。その中で興味深かったのは、特例子会社で実践されている有給休暇の取得状況を可視化したシートの活用事例です。取得した有給の数だけマス目を黒塗りしていくことで、計画的に休みを取ることをサポートされているとのことでした。 就労移行では「いかに休まずに訓練に参加するか」ということが重視されがちで、出勤が不安定な方に対しては「休まないためのサポート」が議論されます。しかし、誰にとっても休息は必要ですし、実習など特に頑張った取り組みのあとは計画的に休んで、心身の疲れを回復させる、緩急をつけた過ごし方をサポートすることも必要だなと勉強させて頂きました。       開催プログラムなどはCEF2023のサイトをご覧ください。 https://www.cef2023.com/             砂川