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こんにちは。 堺の徳谷です。   ひきこもりに係る読書報告です。   『ルポ ひきこもり未満』 色々な方が登場するのですが、中でも柴田さんという方から著者に宛てられたメール(当事者会参加後に送付された)が一際印象に残ります。   「私は『ひきこもり』とは異なる者で結構です。『ひきこもり』をお題にした、お気楽な言葉遊びなど何も響きません」   「自分が何者で、何を望んでいるのか」がわからない以上、出口・ゴールが自分でも設定できない。語り合って何かが解決するような特効薬なんて無い、そんな諦めの気持ちも柴田さんの文章からは読み取れるように思います。   柴田さんはその後、「困窮した者同士が語り合える」場を作ろうとされていましたが、それは著者をはじめ当事者会で出会った人たちと対話することで柴田さんの人生観・価値観も変化したからなのでしょうか。   もう1つ、柴田さんが言及されていた「ひきこもり」という言葉が持つ広義性のデメリットについて。   『DSM‐Ⅲ』では「Sociel Withdrawal」社会的撤退という用語として扱われ… 『厚生労働白書』では「様々な要因の結果として、社会的参加を回避し、原則的には6か月以上にわたっておおむね家庭内にとどまり続けている状態を指す現象概念」とされ… 『若者の生活に関する調査報告書』では「狭義のひきこもり」「広義のひきこもり」が定義されています。 ※いずれもWikipediaに載っていました。   どれも、その人の状態を指す表現ばかりで、その背景にある困窮・貧困のバリエーションやストーリーは書かれていません。頭の中の枠をとっぱらって真剣にひきこもり状態からの脱出について考えるためには、医療や障害知識はもちろんですが、目の前の人とその背景に興味関心を持つことが一番大事で難しいことなのではないでしょうか。   関わる人間の職業的知識・経験だけでなく、人生経験も必要とされます。 当事者1人に対し、多くの人間が関わり対話するモニタリングが重要だと感じました。   ※あと2冊、こんな本も読みました。 『本屋で待つ』佐藤友則 島田潤一郎 広島の本屋「ウィー東城店」の店長のストーリー+ひきこもり当事者がバイト→店長へと至ったインタビュー本です。元ひきこもりの人々から「教えてもらった」と店長の気持ちが書かれています。こういう本、あんまり無いんじゃないか、と思います。   『ひきこもりのライフストーリ―』保坂渉 トイレに引きこもって便座の上で1年過ごし膝が硬直、というケースから、「一般社団法人ひきこもりUX会議」代表理事との対談まで載っています。ゴール=就労と言う認識ベースで支援窓口が設定されている現状が嘆かれています…ずいぶん前に読んだきりなので再読したいと思います。