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こんにちは。
堺の徳谷です。
9月18日(月) 敬老の日
1日だけのヒューマンドキュメンタリー映画祭2023 を観に行ってきました。
伊勢真一監督の記録映画をぶっ続けで4本観る、というスケジュール。
キツいかと思ったんですが、意外と難なく観れるものです。
昔(昭和・平成初期~中期)は映画を観るっていうと、こういう感じでしたよね。
『奈緒ちゃん』
伊勢さんの処女作。1995年の作品です。
伊勢監督の姪っ子でもある知的障害・てんかんをお持ちの奈緒ちゃん(1973年生まれ)。
小学生~成人するまでの 10年間の記録! です。
ホームビデオのような画質・出演者との距離感で切り撮られた生活場面の連続。
奈緒ちゃんのてんかん発作や、社会的なハードルを感じられた出来事については、ナレーションやお母さんの独白で語られます。家庭・通学・キャンプ・病院・公園・特殊学級などなど…映像の中で、奈緒ちゃんは元気いっぱい楽しそうだったり、時には勝手に買い物をして怒られて泣いていました。
奈緒ちゃんの世界と、お母さんの世界が地域とつながりながら広がっていき…。
お母さんは障害を持つ子の親の会のリーダー的な存在へ、そして作業所を起ち上げ、所長となられます。
奈緒ちゃんは生活訓練と、その作業所の両方に通い始めます。
長くは生きられない、と言われた奈緒ちゃんは今年で50歳!
伊勢さんは、その50年間を纏めた映画『大好き』を、現在作られているそうです。
映画の冒頭でお母さんが手記の一部を読み上げるシーンがあるのですが、パンフレットには全文が載っていました。一部、見出しを引用すると…
お母さんの子育て日記[愛される障害児に育てたい]
奈緒の誕生 「あっ仮死だ!」
最初の入院 「2週間預かります」
初めての重積発作 「ナオちゃん、がんばって!」
多動性 「ナオ、ちょっと待って」
地域とともに 「もしもし、ナオちゃんです」
一軒家を買うときに、目の前に公園があることが決め手だったと話されていました。
いろんな年齢の子どもたちが遊びに入れてくれて(奈緒ちゃんは「皆で一緒に」が苦手ではありますが)、
家で電話係を任せてもらって、地域の人がそれを自然に受けてくれて…
この映画のここがこうだ! という感想が言葉にならない。
でも、奈緒ちゃんのことは映画が終わって半月ほど経つ今でも、凄く身近な存在のように感じています。
さて、この日は小児がん治療の医師 細谷亮太 さんと当事者を追った『大丈夫。』
『大丈夫。』にも出演されていた小児科医さんと、
レビー小体型認知症となられた奥さんとを追った『妻の病』
最後に新作の『Pascals』
一本ずつ上映しながら、合間に伊勢さんの舞台挨拶・解説が挟まれました。
繰り返し「わからない、でいいと思う」「わからないんだけど、なんかいいんだよな~と感じてもらえたら嬉しい」と仰っていました。
言葉や本などの文字からだと「わからない」がハードルになってしまうこともあります。
映画になるとそれが理屈抜きに飛び込んできて、「いいな~」が印象に残ります。
「いいな~」と合わさると、「わからない」は、自分の世界を広げる推進力になると思います。
「わからない」ことを拒絶したり、思考停止してしまう。そのちょっとだけ先へ…行くような気がします。
何度も観るうちに、誰かと話すうちに言葉になります。
またどこかで上映されるだろうか。
奈緒ちゃんは、この後を追った映画も数本あるようです。
観たい人が数十人集まって会場が確保できれば上映会、広く周知してお客さんを呼べれば映画祭ができます。
やりたいな~映画祭。