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堺事業所の橋本剛志です。
今回は、『自閉症の人の人間力を育てる』という本の感想の報告をさせていただきます。
自閉スペクトラム症の方々とは、発達検査を通し、何度か出会うことがありました。検査結果をお渡しする際、何か生活に役立つようなアドバイスをしたい、と思いフィードバックをしていましたが、あまり手ごたえはありませんでした。そもそも手帳取得や休職手続きのために検査を受けに来ていた方が多く、継続的に、じっくりお話しの場を設けるのが難しい状況でした。しかし、現職では、ある程度の期間ご一緒できると思うので、何かこの本を通し、支援のポイントのヒントを得たいです。
内容は、著者の方と同じ畑出身ということもあり、理解しやすいものでした。その中で気になったことを挙げていきたいと思います。
まず、知的効率という考え方に興味を持ちました。知的効率には、創造性と現実適応力、自己主張の3つの側面があるようです。具体例にあった、IQが138あっても、知的効率が50%であれば、その人は知的に豊かであるとは言えないという文章を見て、今までに出会った方々を思い返し、腑に落ちる説明でした。知的能力が内に秘める能力で、知的効率が能力を現実世界で出力できる割合のようなイメージを持ちました。訓練や日々の関わりの中で、この知的効率の要素を伸ばせるような運営やフィードバックを実践したいと思います。
また、自閉スペクトラム症の方々に届く、言葉のかけ方は、「小さな声で・短く・肯定形で」というポイントがあると知りました。間違っていることを見るとつい正そうとしたり、注意したりしたいという気持ちが出てきます。しかし、禁止の言葉や制止の言葉は、私もそうですが、誰でも嫌だと感じると思います。自閉スペクトラム症の方は、聴覚的刺激に対する過敏性をお持ちである可能性もあるので、私より受ける傷は大きいものであると推測できます。十分に注意したいです。
一方で、「ほめるのはいっぱい」と書かれてありました。私の苦手な分野ですが、まずは言葉かけを増やしたいと思います。そうする中で、表情も後からついて来たらいいものですが‥。利用者様と関係を築く初期段階に、特に活用したいスキルだと思いました。
最後の方には、生活の「自律」という言葉が書かれてありました。自立ではなく、自分の行動をコントロールすること、制御するという意味合いで「自律」とのことです。症状に振り回されてしまい、失われつつあるコントロール感を取り戻せるように、サポートさせていただき、叶えたい目標向かうエネルギーを蓄えていただくことが支援者には求められそうだと感じました。
この本を読み、今日までの私の自閉スペクトラム症の方々への関わりを見直すきっかけになりました。定期的に読み返す価値のある本だと感じました。良書に出会えて、良かったです