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 4月も気付けば残り一週間を迎えました!!ゴールデンウィークも間近ですね! クロスジョブ堺で働き始めて、もう一ヶ月が経とうとしているんですね。毎日がとても早く、そして充実しています(*´∀`*)    今日は、品川裕香著『「働く」ために必要なこと』の読書感想を書かせていただきます。  この本は、4つの章に分けて、働くことが難しい方々が、脳科学的、そして実践的な方法で、働くために必要なことを述べている本です。この本の後半で、「自立とは何か?」という疑問が読者に投げかけられています。このブログを読んでくださっている方々は、是非この「自立とは何か?」について考えつつ、この読書感想を最後まで読んでくだされば幸いです。    第一章で述べられているのは、働き“続ける”ことが難しい人たちへのインタビューが主なテーマになっています。沢山の方が抱えていらっしゃる、働き続けることへの困難さ、問題、不安が、当事者の方自身の言葉によって綴られています。例えば、国立大学の大学院を卒業し、食品会社の営業部として働き出したSさん。この方は、上司とうまくコミュニケーションがとれず、会議で意見が合わずに煙たがられてしまいます。次第に、仕事を教えてもらえなくなったり、その時に出てきた感情として述べられていると考えるのは、こんな仕事をするためにこの会社に入った訳ではない。自分にはもっと合った仕事があるはずだ。ストレスは強くあるがそれを上手く処理できない。といった感情です。  Sさんが述べている理由としては、コミュ二ケーションがとれず、会議では自分の意見をズバズバと言ってしまった。といったことが挙げられています。ですが、Sさんとのインタビューを通して、少し違った角度からの部分が見えてきました。この方は、インタビューの約束の時間に25分ほど遅れて来られています。その時にも、よく時間を間違えたり、連絡先を忘れるんです、と述べていましたが、その後仕事を辞めてしまった時のエピソードに、この部分は一切触れられていません。  その他にも、大学院時代は研究によく失敗し、機材を壊していた。波風を立てる人物として周りに知れ渡っていた。ライン作業では集中力が落ちてミスをしてしまい、ラインを止めてしまった。このようなエピソードも、Sさんの口から一つの出来事として語られています。それらは彼にとって、しょうがないこと、自分が悪いとはあまり思わない、という捉え方をされています。他にも多くのケースが紹介されているのですが、このブログではあえてSさんをピックアップして引用させていただきました。    二章で語られているのは、教育現場や家庭での実態です。先ほどから紹介させていただいてるSさんも利用されていた、キャリアセンターでの実態が述べられています。大学でのキャリアセンターで実際に務めている方が、インタビューの場面で、大学を“就職予備校”と表現していることに印象深く感じました。キャリアセンターでの最終的な役割は、学生を企業に“送り込む”ことであると述べられています。就職試験を突破するためのノウハウを、あの手この手でバックアップし、履歴書の書き方、面接指導、時には親族へ向けた就活の説明会も行います。そうして正社員として就職をしてもらうのが、キャリアセンターとしての勤めであると述べられています。    一見、我々クロスジョブが行なっている就労移行支援事業と同じく、就職を目指すという目的地であるようにも思えますが、このキャリアセンターでの役割はあくまで“就職”をすることであり、就職をし“続ける”といった部分に対してはあまり指導が行き届いてない部分が見受けられます。就職試験へ向けた対策、面接指導、そこのみにだけ目を付け、いざ就職をしたとしても、そこから先は就職試験があるわけでもなく、面接があるわけではありません。その職場においての働き方や人間関係が大切となる世界において、働き辛さを感じてしまう原因の一つが、ここにあるのではないかと考えます。    三章で述べられているのですが、教育現場におけるキャリアセンターでは、目の前の就職という出口に向けた、視覚的にも分かりやすい就職活動が行われていることがあります。そのような場において、上手くできない学生はダメな子だ、という認識が、ある一定数支持されているという環境があります。僕が考える原因の一つとしてはまさにこの部分で、就職をし続けるためのサポート。働き辛さを感じないためのサポートというのは、就職試験や面接の指導はもちろんのこと、自分自身がどのような人物か“理解”するという、目には見えない内面的なサポートがなければいけない、と考えます。    これはまさにこの本の四章で述べられている部分なのですが、自分自身にはどのような特徴があるのか、どのような思考のクセがあるのか。これを理解することが、働き続けるために大切なことであると考えます。そのような特徴やクセが悪いという話では全くなく、それをどのように対処するかということが重要です。この本ではそのことを具体的に、「リスク要因」と「保護要因」といった表現で述べています。特徴やクセ、そういった「リスク要因」を、予防するものを「保護要因」と表します。この本では、社会的不適応を引き起こす原因のことをリスク要因と表現していますが、噛み砕いた表現をすれば、怒りっぽかったり、すぐに諦めたり、といった特徴、クセのことです。    Sさんの場合においては、集中力の少なさ、注意力の少なさ、といったリスク要因が上げられます。このことがいけない、という訳では決して無く、そのことをSさんが自己理解できていないといった部分が、働き辛さに繋がっているように感じます。職場においても、コミュニケーションが上手くとれないといった背景には、リスク要因があり、そのことをSさんが自己理解しきれていない事が原因であるようにも、僕は感じます。このことを理解した上で、保護要因を増やしていくことができれば、職場でのコミュニケーション、波風を立ててしまう、といった点においても、改善されるかもしれません。しかし、このような要因があるということを、理解せず、受け入れらえずにいれば、保護要因を作ることは難しいかもしれません。    最後になりましたが、最初にお伝えした「自立とは何か?」についての皆様のお考えはまとまりましたか? 自立とは、親元を離れて暮らし、自分で生活費を稼ぐこと。僕もそのように考えていました。しかし、この本ではこのように述べられています。  「社会の中で他者との人間関係を構築しながら、社会の一員として生活すること」 僕はこの一説がとても好きで、最後にこの言葉を持って来させていただきました。自立の定義は人それぞれで、この一説が正しいという事では決してありません。しかし僕は常日頃から、周りの人に支えられて生きていると実感することが多くあります。自立するということは、こうして周りと共に生きていくということであり、決して一人で生きていくことではない、そう考えると、とても暖かい気持ちになります。また、誰かと支えあい助け合う事は、自己理解や保護要因にも繋がるきっかけにもなるはずです。  読書感想文というよりも、要訳のようになってしまいましたが、とても面白く、感心し、勉強になった一冊でした!是非とも皆様も読んでみて下されば幸いです(´∀`*)