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【第26回職業リハビリテーション研究・実践発表会】
■特別講演「障害者雇用は『働き方改革』の決めてになる」
鳥飼総合法律事務所の小島氏より上記のタイトルでの講演を聞かせて頂きました。小島氏は弁護士でありながら、日常よりジョブコーチや障害者学生との関わりを通じて、障害者雇用に関することに20数年精通している方でありました。
所感としては・・・、
日々我々が行っている実践、実践には至っていないが理想としていること、理念に通ずることのエッセンスを文字にして具現化された内容でした。
小島氏の言う「対話」に強い共感を得たと同時に、日常の中で意識しつつも常にこの「対話」を実行していくことの難しさも感じました。非常にわかりやすく、我々の日々の支援、人財育成について全て共通項だと思い知りました。
働きたい障害のある方と雇用したい・働いて欲しいと思っている企業との懸け橋について
また雇用管理へのシフトを考えるにあたり、支援者が意識して取り組むにあたり相互理解も図っていきやすい内容であるとともに、感情コントロールやアンガーマネージメント、
「人として」も考えさせられる内容でした。
資料が膨大なので、以下、私が共感しながら聴講した内容ですので、ご参考になれば幸いです。
1)解雇ではなく「対話」
◎日本経済の発展によって、「失われた20年」
成果主義、非正規雇用の増加、少子高齢化、インターネット・SNSの増加、ハラスメント問題の増加。
◎問題社員に関する相談が増加
就業困難なメンタルヘルス不調、一方的なハラスメント告発、上司や同僚と一緒に働けない社員。
→労働者と企業、双方の適応と成長が必須。
◎小島氏の言う「対話」とは…
徹底した性善説で相手の「素の心」をターゲットに。
北風(厳しい指摘と要求)と太陽(存在を認めて期待と配慮)の両方で接する。
徹底的に相手の立場になりきることと裁判官の立場でものをみること。
公正さを貫く→「事実」と本人の「認識」のズレを言語化して確認していく。
期待を示し続ける→「期待をすること」ではなく、「示し続ける、相手のためを考える」
映画監督を目指し続けている同氏としては「物語(ストーリー)と高揚感(わくわく)を持ちながら」。
2)「発達障害(傾向)」は増えている?
アメリカに比較し日本での発達障害学生の認識が低いのではないか。
日本では高校までの「決められた環境」と大学での「自分で組み立てる」環境とのギャップが大きいため、大学移行時に適応困難になり、ASDに気付くのは。
課題抽出とストレングス抽出の分量は同等か、ストレングス抽出はそれ以上。→人財育成の神髄。
他者理解から自他の区別がつき、主体性を獲得していく。
3)合理的配慮提供における「対話」
合理的配慮を提供している事前提での職務への影響を考えることの重要性。
ストレングス視点をつきつめ、能力発揮を妨げる社会的障壁を取り除く
→「医学モデル」(インペアメントの抽出改善)から「社会的モデル」(潜在能力の抽出)
人事労務全体の課題として合理的配慮を捉え、多様な個性のある労働者の潜在能力を引き出し組織的な仕事で「働き続けていくための」技法として捉えることが重要。
発達障害の場合は「対話」の段階での合理的配慮が必要。
障害のあるなし関係なく、相手が何を求めているのかを知っていく過程が大事。
→本人の潜在能力を発揮するために必要な配慮について当人との誠実対話が必要。
労働者としてのメタ認知と本人成長促進、事業主としては活性化されずに眠っている潜在能力の発揮からのイノベーションへ。
4)成功する障害者雇用
採用・配置のプロセスを大事に支援機関の連携も得ながら共に働く周囲の理解を仰ぎ、日々のモニタリングと適時の介入を行いながら最初の一人は絶対に成功させる。
エスピスの活用。
5)「働き方改革」の本質
効率が悪くなっても働く人の多様性を受け入れ、多様性を活かし切ってこそ、より大きな成果と新たな価値が生まれるのではないか。
「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進
→全ての従業員が在りのままで組織に受け入れられていると感じ、アイデアや経験をオープンにすることをためらわず、持てる力の100%を発揮し相互に影響しあえる組織文化。
「心理的安全」の提供→本来の自分をさらけ出すことへの恐怖を乗り越え、本来の自分を出しても受け入れられると信じられるようになれば(他者共感力の育み)、職場の活性化へ。
6)障害者雇用による「働き方改革」
インクルージョン促進には女性活躍、外国人労働者では不十分→適応できてしまう。
障害者をチーム戦力として受け入れる。
対話による本人、企業側双方の自立が必要。
就労支援による障害者雇用の促進が働き方改革のブレークスルーになれば。
一日目はこれで終了という位のボリュームでしたが、学びと気づきの多い有意義な一日となっております。明日は発表を頑張りますので…。