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こんにちは、堺の徳谷です。 先日、標題の研修に参加させていただきましたので、内容を報告させていただきます。   今回の研修は、毎年大阪府が福祉施設の管理者・支援員、自治体職員に向けて開催しているもので、今回も400名を超える申し込みがあった、とのこと。会場にごった返した方々の雰囲気も様々でした。一日びっしり講義を詰め込んでも足りないであろう広範さと根深さを内包するテーマについて、以下のとおりの内容が参加者に向けて投げかけられました。     ◆『障害者の権利擁護』  大阪社会福祉士会 稲村啓子様より   『大阪府障がい児者施設等サービス改善支援事業』の取り組みから見えてきたことについて。   大阪社会福祉士会が大阪府より委託を受けて、地域内の施設に赴き「監査・告発・指導型」ではなく「対話・交流型」の方法で現場改善に取り組んだ上記の事業、その過程・経緯・結論が、府のHPにも掲載されています。   各段階で見えてきた問題と、個別・チーム・組織それぞれの場面での「支援力・組織力が虐待といかに密接に隣り合って存在しているか」について、お話いただきました。     ◆『障害者虐待防止のポイント及び大阪府の状況について』 大阪府福祉部障がい福祉室障がい福祉企画課の方より     ・今年8月に厚生労働省の事業として開催された虐待防止・権利擁護研修のポイントの振り返り。 ・刑法上・通報時の流れと各場面で機関、自治体が担う役割・通報、認定内容の比較検討・行政の基本的視点 それぞれの実際について。     ◆『家族の思い』 社会福祉法人 大阪手をつなぐ育成会 坂本 ヒロ子様より   家庭の中で障害と向き合う中で、また、支援の現場の中で「虐待の起こる芽は どこにでもある」ことについて。   ご自身の経験や、活動をもとに、支援を行う我々に向けて「あなたに」と呼びかけながら、坂本様の想いをぶつけてくださいました。     ◆『障害者虐待防止法の理解』 大阪弁護士会 青木 佳史様より   ・根拠法としての障害者虐待防止法の成立と実際について。 ・自治体・支援の現場それぞれにおいての早期発見と対応スキーム(しくみ)の在り方について。   「障害者虐待防止法」には、虐待が起こることを抑止する根拠法としての働きだけでなく、虐待が起きた現場での対応を、本人が発することのできない窮状に介入する「本人の権利擁護・人権保障」と捉えることを、支援者ならびに本人の周辺の人間へ「期待するという意味」も含まれています。 各施設・各場面での対応に即した法的根拠と、また、対応前後の組織体制の在り方について、具体的な例を挙げてお話いただきました。     ◆『事業所における虐待防止体制の整備に向けて』 関西福祉大学 谷口様より   ・虐待・差別の起こる構造的な要因 ・同規模の事業所間における支援体制の格差から見る、管理者の姿勢・取り組みの在り方について   基本となるのは、支援者個人の中に鬱積する閉塞感や悪循環は、「閉じた環境におかれた情緒集団(日本型組織)」であれば当然発生するものであることの自覚と、虐待の潜在化を防ぐための客観的・科学的な原因究明を行うこと。支援者としての「こころ」は最低要件とし、その上で専門性を獲得するためのスキルを身に着けること。   その上で意思決定支援を行い、虐待発生時には迅速な対応と通報を行うことが絶対に必要であり、虐待発生の原因が各個人同士の対応の中にあったとしても、その責任は必ず組織体制・管理者にも属する。   個としての支援員と、組織としての事業所の在り方についてお話いただきました。       当日のプログラムは以上になります。 全体の講義を通して、虐待防止は勿論のこととして、当事者への「エンパワメント」について考えさせられました。   エンパワメントとは、意思決定のための支援であり、「持っている力を出せる支援」である、とのこと。 我々支援者が多くの選択肢を持つための研修参加や自己研鑽を行っていくことは勿論、その情報を当事者の方に提示するためのスキルを駆使する場面で、意思決定をいかにして行っていただくか。   その支援の本質・本筋が見えなくなる体制・風土の中に虐待の芽は潜んでおり、個においては支援者自身が自己を冷静に見つめられていない(自己の適正・スキルの習熟度を含めて)状況を俯瞰して自覚できていない際の対応が虐待発生を招きやすい、と私は今回の研修から受け取っています。     研修2日目は演習となります。 今回の研修の内容をよく振り返り、次回の演習に臨みたいと思います。