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こんにちは。
堺の徳谷です。
連休初日に部屋の中を片付け、最終日まで整理整頓をキープできました。
令和はずっとこの状態をキープ! を目指します。
『されど愛しきお妻様~「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間~』
著者の鈴木大介さんは…
「「犯罪する側の論理」「犯罪現場の貧困問題」をテーマに、裏社会・触法少年少女らの生きる現場を中心とした取材活動を続けるルポライター(著者紹介から引用)」でした。
既刊の中で最もメジャーに読まれていたのが、『最貧困女子』でしょうか。
ノンフィクションの執筆と並行して『ギャングース』という漫画のストーリー制作にも携わっていて、僕はその漫画を入り口に、一時期、この人の本を読み漁っていました。
そんな著者が、脳梗塞からの高次脳機能障害!? 妻が大人の発達障害!?
それを「書こう」とした著者の意図は? その内容は? 今後は取材・執筆の舵を、そっち方面に大きく切り変えるの?
等々、気になって即購入。一気読みしてしまいました。
内容をザックリ書くと、以下の3点が「障害」について。
① 高次脳機能障害と発達障害の共通性・類似性について。
② ①と著者自身の経験に基づく、障害受容について。
③ ①②から考える、過去の取材対象者たちと「脳のトラブル」と社会環境について。
①~③に、著者とお妻様、両者の悪戦苦闘の夫婦生活(夫婦以前の「出会い」から始まります)が重なり、メチャクチャにシリアスな内容が、笑って泣けるエッセイとして読めてしまう、素敵な1冊でした。読みながら笑えるようになるのが著者が倒れた直後あたりから、というのも素敵です。
不謹慎かもしれませんが、ホンマに笑えます。めっちゃ面白かったです。
「加害者の多くは、被害者転じての加害者である」
「与えられていれば、奪う者にはならなかった」
(『ギャングーズ』)
「貧困とは低所得や無収入といった金銭的な困窮に加え、相談や支援を期待できる人の縁からも隔絶し、もう一歩も進めないほどに疲弊し尽くした状態」
(『再貧困シングルマザー』)
「「三つの無縁」「三つの障害」から貧困に陥ると考えている」
(『再貧困女子』)
以上は著者の既刊からの引用ですが、本書の最終章では
「弱者を加害的な立場に追い込むのも、また周囲の環境」
だと、著者は述べています。
犯罪に限らず人間関係においての「加害」「被害」とは何か。
その意識を生む社会環境とは。
著者の主張は支援の現場、当事者を取り巻く家庭・職場・余暇、どの現場においても、とても大事で、同時に誰にとっても優しい眼差しだと思います。そして、具体例としてお妻様と著者自身を例に挙げるというパーソナルな視点と語り口から、それを追体験した気持ちになれることが、本書の最大の魅力だと思います。
堺の本棚に加えますので、ぜひ手に取って読んでみて下さい。