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こんにちは。堺の徳谷です。
今週はG20で、大阪は少しいつもと違う空気になりそうな…
企業様での実習参加はもちろん、通所していただくにあたっても、普段どおりの電車・バスで行けるのか。
要チェックですね。僕は今から調べます。
さて、今回の本は、総会前の研修において米田理事よりご紹介いただきました。
『発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ』
脳の 機能→部位→働き→発達過程 を科学的に辿り…
著者のメインフィールドである知覚研究・心理学をもとにコミュニケーションと社会性の成立を追いかける…非常に込み入った内容でした。
本当にざっくりと内容をかいつまむと…見えるという感覚(知覚)についての本、だと言えると思います。
単に見えるという感覚一つでも、そこには外部情報の獲得→情報の伝達→情報の統合・取捨→情報への対応(と同時に知覚?)のような段階があり、「情報」も、形・色・大きさ・距離などなど…対応する脳の部位と伝達のための経路が様々に分かれます。
物の輪郭、物の形、物の特性、物までの距離…これらがハッキリ見えていたとしても、その物に正しく触れ・掴み・移動させることが出来ない。また、人の表情・視線を見つめ、追いかけ、真似したり語り合うことが出来ない。
これは発達障害を持つ方の「出来ないこと」の羅列ではありません。脳の発達の過程や脳損傷の部位によって、これらが全くの逆になることも、また全く違った「見える」という感覚の中で生きていくこともあり得る、ということを示すための一例です。
特に人の表情と視線を見るということ、相手の意図と視線の先を見、見えるを他人と共有するということ。この感覚の認知の仕方(変な日本語ですが)が、コミュニケーションや社会性の「違い」の根幹にあるのではないか、ということがわかりかけてきた…そんな内容だったのだと…思います。
チーム支援の中でのアセスメントや、当事者からの発信によって、この知見に辿り着く場合もあるのかもしれませんが、僕にとっては、それは物凄くハイレベルだと思えます。客観的な知見として追体験できたこと、この本を今の段階で知れたことは、とても貴重だったと思います。
著者が書くように、「発達障害の話をまとめるのは…(中略)…社会性の問題とその理由をまとめ直す作業は…(中略)…ひとつひとつの問題が、自分自身の問題に変換され、時に心が乱れる」こともあります。しかし、「科学的知見は客観的であるので、どの立場にも平等で、多数派に加担することはない」という特性があります。この2項の距離感は、本書で扱われる実験心理学と脳科学の距離感なのかもしれないな…と、僕は感じました。
僕たちの仕事は多くの可能性の取捨選択の繰り返しから成っており、優先順位や比重、距離感はその時々によって変わります。
目の前がそれらでいっぱいで溢れそうになったとき、自分自身が揺れているときに、揺れない客観的な知見は、大きな武器になるのではないでしょうか?
科学をあなたのポケットに がキャッチコピーのブルーバックスが、科学を信じる男の子の心?も思い出させてくれたような気がします。