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こんにちは、砂川です。 今月の堺事業所はNPO総会の関係でバタバタしながら、企業見学・実習に出られる方が沢山いらっしゃったので活気あふれる1ヶ月になりました。 利用者の皆様もスタッフもお疲れ様でした。どんどん暑くなってきますが来月も一緒にがんばっていきましょうね。よろしくお願いします。   今日は読書報告です。 池上正樹さんの【大人のひきこもり】を読みました。最近はニュースなどでひきこりが取り上げられる機会が多くあります。皆さんは「ひきこもり」と聞いた時、どんな印象を持たれるでしょうか。   私のイメージは「家から出にくい人」「対人接触に苦手さ・難しさがある人」と文字通りに捉えていて、元々社会との接点が薄い人と解釈しいていましたが、本を読むとそういうケースばかりではないことが分かりました。   例えば、離職や親の介護、本当は支援を求めていたのに行政の縦割り体質から必要なサポートに行き着かなかったケースなど、ひきこもりに至る経緯は多様で、決して他人事の話ではないとの印象を受けます。 本の中では、IT関係の仕事をしていた人が家庭の事情で数年仕事を離れたことで、以前までの知識・スキルが役に立たず再就職が難しくなった事例が紹介されていました。私も専門職として働いている身なので、これからの人生で事例と同じような状況になる可能性は0ではないと思いましたし、「ひきこもり」と一言で表現し、カゴテリー分けを行うことで、当事者の本当の困り感が見えなくなってしまうことも怖さにあると感じた次第です。   ひきこもりの要因は挙げればきりがありませんが、就労の問題はとても根深いと感じます。本には【なぜ、一度会社を辞めると、社会との縁までもが切れてしまうのか。その袋小路に入っていく背景には、なかなかリセットすることが許されない日本の社会構造がある】とあります。その理由は、社会保障の設計のあり方も影響していますが、私たちの意識の中にも「仕事から離れると何かが終わってしまう」という漠然とした不安感、疎外感があり、仕事から長期間離れた人に対する見方も歪んでしまうことがあるのではないかと感じました。 社会構造の問題→個人の不安→ドロップアウトが許されない、這い上がりにくい風潮の悪循環があると解釈します。 このサイクルの中で、私たちがアプローチできることは何か。今後の組織運営のカギにもなってくるなと思いました。   また興味深かったのは、自閉症の主症状である社会的相互交流障害が、Mtor阻害薬ラパマイシンによって改善されることを動物実験で突き止めたとの報告が挙がっていたことです(東京大学大学院・水口雅教授他)。本書の発行は2014年なので、現在の研究状況がどうなっているのか知りたいところです。   私はクロスジョブで仕事をして、発達障害の診断を受けた方を中心に支援に携わらせて頂いています。しかし、これからは発達障害の知識だけでは時代のニーズに追いつけなくなるだろうなと感じています。発達の勉強はまだまだ深めないといけませんが、本書を通じて次の時代、次の社会を考えるきっかけになりました。   ひきこもりの事例、就労問題、医学的アプローチ、各地域の取り組みなど、多くの情報が得られる本ですので、読まれる方によって感じる部分に幅の出る著書です。 ぜひ読んでみて下さい。     【書籍紹介】 ▽著書:大人のひきこもり 本当は「外に出る理由」を探している人たち ▽著者:池上 正樹 ▽出版:講談社             砂川