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こんにちは、砂川です。 今日から2日間は早稲田大学で開催されている【自閉症カンファレンスNIPPON2019】に参加しています。 全国から沢山の方が集まり、大教室がほぼ満員の状況です。   午前中はTEACCHの臨床ディレクターであるクリスチナ・オラホバッツさんから【自閉症者のラーニングスタイルについて】のお話がありました。 昨年はノースカロライナでも勉強してきましたが、学習スタイルを知ることは全ての支援の基礎であり、「自閉症の文化を知り、理解し、理解した上で支援を行う」ことを再確認しました。 オラホバッツ先生からは氷山モデルのお話もありましたが、最近のTEACCHでは従来の氷山モデルからもう一歩進んだ捉え方をしているとの解説がありました。 私たちがよく知っている氷山モデルは、海面下に問題行動の背景(学習スタイル、特性)が隠されているとの考え方です。 しかし、現在は4つの視点で考察することに取り組まれています。 1つ目は、状況(見聞きする言動) 2つ目は、周囲が期待すること(~してほしい) 3つ目は、仮説(なぜこの状況が起こっているのか学習スタイルから検討する) 4つ目は、具体的に実施する支援です。   私たちの日常支援でも取り組んでいることだと思いますが、新しい氷山モデルで整理をしていくとチームでの共有や議論が行いやすくなるかもしれませんね。 難しい状況に直面した時こそ、それぞれの視点を意識していきたいです。   午後からは日本で初めてTEACCHの研修に参加された先生方からのお話で、TEACCHを学び、実践研究されてからの30年を振り返った思いをお聞きしました。 登壇されたのは、藤村出さん、諏訪利明さん、村松陽子さん、中山清司さんの4名。そうそうたるメンバーで、自閉症支援の世界ではその名を知らない人はいないと言う方々です。 先生方がTEACCHの世界に飛び込まれたきっかけは「何とかして自閉症の人たちのことを知りたい」という気持ちだったとのこと。 今となっては、自閉症は神経生理学的な問題、脳の構造と機能の問題から学習の違いがあるとの考えが明確になっていますが、この考えに至るまでには自閉症に対する誤った認識があり、科学が進歩した中で私たちは支援を行なっているのだと実感しました。   先駆的な取り組みをされている方々ですが、私が一番感銘を受けたのは、どれだけ素晴らしい取り組みをされていても、自閉症の人のことを思い、彼らを尊重し、役に立ちたいという思いを常に持ち続けておられることです。 私の気持ちの中には、この仕事をすればするほど、「福祉の仕事は優しさや情熱だけで成り立つものではない」とシビアに考えることもありましたが、ご本人達への思いなくして、携われる仕事ではないと考えを改めた一日になりました。 いくら素晴らしい実践をしても、最新のシステムを取り入れても、本人不在の支援では意味がなく、「何のために私たちの存在があるのか」を考え、チームで共有出来る組織でならねばいけないと思います。 就労移行支援事業所は乱立時代で、外の世界からは、それぞれの事業所がどう違うのか判断が難しくなっています。そのため、システムやパッケージでの差別化が必要になりますが、それ以上に、私たちの支援は、ご本人のためにあるんだとしっかり主張することが大切だと思いました。   この思いを共有し、一緒に勉強して、ワクワクしてくれるスタッフが一人でも増えますように。明日のカンファレンスも楽しみです。           砂川