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■読書報告(第6回)『自閉症の人の人間力を育てる』
この本は入職前に読んでいたため、読書報告を挙げられていなかったので、研修が近くなったこのタイミングで挙げたいと思います。私はクロスジョブに就職するまで、ほとんど自閉症の方とお会いする機会はありませんでした。そのため、本書を読んだことで自閉症の方の特性についてすごく勉強になりました。
特に本書を読んで印象に残った内容を5つ挙げたいと思います。
1つ目は、第1章の「行動の特徴」についてです。自閉症の人は、視覚からの情報が多いこと、聴覚・味覚・触覚・嗅覚の鋭敏さがあること、模倣の力が弱いこと、自分の意思でないときは能力を出さない、見通しが立たないと変化を拒否する、表情には出ないけど不安が強いなどの特徴があることが分かりました。
2つ目は第2章の「問題行動をどう考えるか」についてです。ここでは問題行動の定義と、その行動の背景にあるものを考えることを学びました。私自身この4か月利用者さんと関わっていく中で、その言動の背景にあるものを考えることの大事さを痛感しているので、これからも考えていきたいと思います。
3つ目は、第9章の「教えることの大切さ」についてです。ここでは冒頭の「模倣の力が弱いこと」に起因する自閉症の方へ働く力を育てるために、〈教えること〉の大切さについて記述しています。この章で特に勉強になったのは、「人からものを教わる姿勢を作ること」と「一定の時間、集中できる力を育てること」の2つです。前者は報連相でいうところの“相談”の力を養う部分と思います。また、後者は仕事の時間は集中するということと時間管理にも起因してくると思うので、大事だと改めて認識しました。
4つ目は、第11章の「働く力を育てるときのポイント」です。ここでは、「目と手がきちんと動くこと、終わりまでやること」「できるようになるまでチャンスを与えること」「自分で選んで自分で決めること」「仕事場の空間をどう管理すればいいか」について細かい場面も含めて記述してくれています。この部分は就労移行支援の中でも利用者さんと一緒に練習できるところだと思うので、頭に入れておきたいと思います。
5つ目は、第12章の「仕事をしていくときに必要な配慮」についてです。ここでは一般的な配慮事項について記述されています。特に参考になったのは、「目で見て結果が分かる仕事から」していただくことや、「一人で完結する仕事から」してもらうこと、「時間と仕事の量を配慮する」こと、「今持っている力で仕事に就けるようにする」こと、「評価して支えることが大切」であることなど、配慮として必要なことについて学ぶことができた。
本書は自閉症スペクトラムの人の支援を行う上での入門書として非常に分かりやすかったため、宜しければご一読ください。
■参考文献
篁一誠(2009)『自閉症の人の人間力を育てる』ぶどう社