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■読書報告(第8回)『発達障害~生きづらさを感じる少数派の「種族」たち~』  今回は、第4回で上げた『自閉症スペクトラム』の著者でもある本田秀夫先生の『発達障害~生きづらさを抱える少数派の「種族」たち~』という本を読了しましたので報告いたします。  この本では発達障害の特性についてよく分かりました。その中でも、特に勉強になったのは[1]特性の「重複」と「強弱」について[2]「やりたいこと」と「やるべきこと」を障害のある方がどのように捉えているかについてです。   [1]の特性の「重複」と「強弱」についてですが、私は“障害”と聞くとどれか1つだけだと思っていました。例えば、身体障害なら体のどこか一か所が動かしにくいや欠損しているという風に思っていました。ですが、発達障害では自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)や注意欠如・多動症(以下、ADHD)、学習障害(以下、LD)が重複し、尚且つそれらの症状に強弱があると本書では書かれていました。今まで利用者さんをそのような視点で見たことが無かったので、本書を読んでからこの視点を取り入れて見ていくと、確かに人によってそれぞれの特性が少しずつ見て取れる方と、どれか1つの障害の症状が色濃く出ている方と様々でした。さらに、本書には「ちょっとAS」や「ちょっとADH」などといった診断が出るかどうか微妙な方、症状が軽微な方がいること、ADHDの診断を受けながらもASの症状が出る方がいること、ASDと診断を受けながらもADHの症状が出ている方がいることについても触れられており、これらの症状の強弱や重複について目安となる図解も記載されているため、非常に分かりやすかったです。    [2]に関しては、発達に特性がある人は基本的には自分のやりたいことを大事にする人たちであるということです。自分のやりたいことに「これ以上は減らせない」という最低がラインがあるということでした。また、発達の特性がある人は仕事が忙しい時期でも、やりたいことへの情熱が抑えられなくなることはあるとのことでした。それによって家に帰ったら好きなこと「やりたいこと」に没頭して、ストレスを発散し、夜遅くまでやってしまうことで、慢性的な睡眠不足になっていることもあるとのことでした。一方で、「やるべきこと」に過剰適応しているというケースもあると書いてました。過剰適応とは、世間から求められている社会規範をその人なりに理解して、苦手だと感じながらもそれに適応しようと努力した結果、かなり無理をして「過剰」に「適応」する形になってしまうという問題だそうです。    本著には発達障害の特性だけでなく、それにどのように対応するのかについても記載されています。また、特性についても診断を受けている方とそうでない方の行動や発言を比較してその違いを分かりやすく記述してくださっているので、「発達障害とは何か?」と疑問に思っている方々にはぜひ読んでいただきたいです。最後まで読んでくださりありがとうございました。   ■参考文献 本田 秀夫(2018)『発達障害~生きづらさを抱える少数派の「種族」たち~』SBクリエイティブ株式会社