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皆様、こんにちは。
クロスジョブでは、本年9/11(日)に雇用フォーラム(三年勤続者表彰)を企画しています。
これに先立ち、実習受け入れで数年来のご助力を頂き、本年は新規雇用も頂いた、日本ドリームサービス株式会社様のインタビューに伺いました。
日本ドリームサービス株式会社様は、障がい者雇用に関して永年の実績があり、ホテル等で使われる、シーツや掛け布団のカバー、枕カバーといったリネン類の供給をされています。
多数の施設と契約をされ、阿倍野で3トンクラスのトラックを見かけることもしばしばです。
夕方になると軒先に10~15台ものトラックが帰還し、リネンの積み下ろしをされている様子には圧巻されます。
巨大な洗濯機で洗濯されたリネンは、ベルトコンベアで運ばれ、20~30名の方々が、手際よくリネンの仕分けを行い、大型のアイロン機で仕上げられています。
専務取締役 酒木良三様にお話を頂きました。
クロスジョブ(以下「CJ」):
●月並みですが、現在の障がい者雇用率は何%ぐらいでしょうか。
酒木専務(以下「S」):
雇用率は現在、約18%です。20名です。可能性がある限り、さらに増やしていきたいと思っています。
●長年の実績をお持ちですが、最初に障がい者雇用を始められたきっかけについて、教えて頂けますか。
S)父親が工場の責任者だった時、地域の精神病院から、日中活動や社会参加の面から患者を引き受けてくれないかと、相談があったんです。それを引き受けたっていうのがスタートですね。昭和45年頃のことでした。企業内での作業療法ということでしょうかね。
10人くらいの方を、9時の始業に間に合うように、会社の車で病院まで迎えに行って、3時になったら、また病院まで送っていくっていうことをしていました。私も車の横に乗って、よく一緒に病院へ送迎にいったものです。縁あってそのうち3、4名の方が社員で定年までうちで働いてくれていましたね。
●現在も勤続30年を超える方がいらっしゃると伺いました。30年継続就労していくために、重要なポイントがあれば教えて頂けますか。
S)勤続30年は、今3名いますね。昭和56年、当時の養護学校から実習生を受け入れ、翌年春に卒業生を受け入れた事が障がい者雇用の大きな流れのはじまりです。大事なことは、まず健康であること。本人を送り出し、食事や洗濯、お風呂の用意をし、生活リズムを整えてくれる家族。会社は朝出勤したら仕事終わるまでは面倒を見る。もちろん働いた分のお金も支払う。
会社と本人、家族。それでずーっとやってきたんですけど、ここ10年くらいはプラス支援センターの支援っていう形。何より本人の健康が1番大事ですよね。
CJ)健康とそれを維持する生活リズムの確保ですね。
S)朝起きたら会社に行く。会社で言われた仕事をして、お昼ご飯食べて休憩して、で、仕事終わったら帰ってくるというリズム。あとは定期的な休み。何のために働くかっていったら生活するためにお金を稼ぐ目的だろうけど、働くだけじゃなくて自分の楽しみにあてる時間。やっぱり自分でお金を使う楽しみもあるだろうからね。100%仕事を優先しなさいというのは、 一応言ってないつもりです。決められた日はちゃんと来てもらわないと困りますけどね。
●現場のリーダーの方の育成について工夫されている点があれば教えて頂けますか。
S)これといって、していませんね。いろんなところである講習にも出せていませんし、自然にそういうものが出来てきちゃっているという感じです。
CJ)脈々と受け継がれてきているところでしょうかね。
S)自分自身が「そこまでやらなくてもいいかもな」っていうところまでやっていることで、現場にも気持ちが伝わって、現場内で出来ることはやってくれている。必要なら家庭訪問もしますし、先日も彼の件で。
CJ)はい。CJから雇用頂いた方が調子を崩し、自宅近くまで送って下さいました。そこまでして下さったこと、本当にありがたかったです。 実習巡回で伺っている時も、「障がい者雇用は奥が深いからね」といつも仰っていたような、そういう一言ひとことが皆様に染みわたっているのかなと感じました。
S)実習生は、毎週一人か二人は入りますね。三名が同時に重なることもあります。現場は大変だと思いますよ。ついてないとだめですからね。先日、ある高等支援学校の見学会だったんですよね。実習にきた2人が学校の入り口で出迎えてくれて、「この間は、ありがとうございました」って。嬉しかったですよね。
CJ)社会貢献度がほんとに高いんだと思います。現場で数えきれないくらいの実習生を受け入れてきて、そういった中で現場のリーダーの方も力をつけられていってると感じるのですが。
S)対応についても、それなりに慣れてきているんじゃないかな。前向きに取り組んでくれています。でも余裕が出来たらいろんなセミナーとかに出ていって貰おうと考えています。自分自身も特別、障がいのある方の勉強をしたわけじゃないし、自分なりに接してきているから、専門用語言われてもわからない所もあるので。
CJ)先日伺った研修で、「障がいのある方こそ先生」というお話がありました。御社のリーダーの方も、実習生の特性についてすぐに理解して頂き、細やかなところまで見ていただいて、素晴らしい対応力には感謝しきりでした。
S)現場のパート職員にしてみたら、それなりに子育てを1人か2人か3人か、してきてるわけじゃないですか。その延長みたいな感じで、見てくれているんじゃないかなと思っているんですけどね。あとは本当に面倒見のいいリーダーさんとか、「持って帰って食べてね」とお菓子配っていたりとか。20人が毎日きてくれて大変な作業をこなしてくれるから仕事がずっと回ってるんだよね。20人いなかったら大変です。絶対仕事が回らないです。一人一人が無くてはならない存在ですからね。
CJ)障がいのある方が、地域で働ける場を安定して維持されてきているというのは本当に貴重なことだと思います。
S)一般の方々からは、どの様に思われているのでしょうかね?でも当社は、ずっと培ってきたものがあるからね。あの子らにもできる作業がいっぱいあるから。
CJ)苦手なことが多い人にとって、頼りにして貰えることが、生きがいの一つと感じることも多いと思います。さらなるご発展を祈ります。
●このたび雇用頂いた方について、雇用のきっかけを教えて頂けますか。
S)ここの仕事はしんどいですよ、汗だくになって。でも、やっぱりドリームで働けて良かったっていう風にちょっとでも思ってもらいたいなって思ってるのでね。当社にしてみたら、色んなところで働く場所があるのに、わざわざ当社にきてくれたっていう気持ちでいつもみんなに伝えているから。
CJ)今回も受け入れて下さる中で、ご本人からしんどさの発信があって、その状況の中でご本人が働き続けることを最優先に考えて下さったことは、担当としても感謝しきれないほど有難かったです。
●CJ実習生をしばしば受け入れて下さる中で、スタッフやご利用者の印象について教えて頂けますか。
S)5周年総会の中で、各事業所の発表があったじゃないですか。ほんとにみんなスタッフ明るくてね。生き生き仕事してるなっていうふうに見させて貰いました。
それぞれのグループがカチッと固まって協力してみんな動いてるなっていう風に感じましたね。ここ辞めてクロスジョブで働こうかなって(笑)。リーダーさんの涙ポロリも印象的でした。こうしてケース担当が何度も通ってくれているのも、熱心だと思います。本当に熱心。
実習生の方は依頼があれば拒まず受け入れてるんですけど、いろんな方いますよね。でもほんとにうちの仕事に向いているかどうか、とにかく体験だけしてもらわないとだめだから、してもらってます。やっぱりオフィスのほうで学んだことをそれなりに活かして実習してくれてるんじゃないかなって感じはいつも思ってますけどね。 CJさん側で、本当に適した作業場所を探すのは大変だろうけど、みんな素直に入ってくれてます。変にひねくれたっていう性格の悪い人は1人もいなかったかな。すごく真面目に取り組む方ばかりでしたね。
過去にきた人で、やっぱり嫌気さして消えちゃった人もいるんでね。突然こなくなったとかね。そういう心配をさせられる人はいない。何とか通いながら自分自身のことを考えて前向きに取り組んでくれる方ばかりだったんじゃないかと思います。
●これから障がい者雇用を検討される企業様に、メッセージを!
S)これからやる人って、勇気ある一歩を踏み出さないといけないということで未知の世界じゃないですか。一般に比べるとちょっと時間はかかるかもわからないけども、接し方、対応の仕方一つでその本人が持っている可能性が伸びて、必ず頼れる存在になると思います。時間をかけてでも受け入れましょうということでしょうか。それと、自分の子供に置き換えて物事を考えたら何とかしようという気持ちになると思います。会社それぞれの考え方だろうけど。時間をかけたら無くてはならない存在になります。当てになります。
○インタビューを終えて
今回のインタビューをさせて頂き、「障がい者とともに働く」企業活動の礎はすでに出来ていると感じました。
「ここで頑張ってくれている障がい者の方たちが居るからこそ現場が回っている」との視点は、現場の雰囲気に大きな影響を及ぼしていると思います。
半世紀に渡り、地域に根ざした企業として、「働きたいのに働けない」方々にも働く場を提供し、働ける能力がある方には、定年まで働ける職場を維持されてきている活動は、社会からも高く評価されています。この企業様には、担当の利用者様を雇用して頂いており、インタビューでのお話が日々の実践そのものであることを実感しました。複数の課題に直面しても、「どうすれば少しでも長く働き続けられるか」を主軸に置き、「時間をかければ必ず頼りになる」という思いに基づき連携をして下さっています。 障がい者雇用において求められてくる「雇用管理」の一つのモデルがここにあると感じました。
「我が子に置き換えて、何とかしようと考える」というお言葉も、ご家族との連携をしっかりなさっているからこその貴重なお言葉だと思います。三児の父として、個人的にも強い共感を覚えました。
今回のインタビューを通じて感じたことを、今後の業務にも活かしていきたいと思います。酒木専務、この度は貴重なお話をお聞かせ頂き、本当にありがとうございました。
今後の益々のご活躍をお祈りしています。
(インタビュー:福永)