ハロ~!カンパニー

企業インタビュー 鴻池運輸株式会社 様2017年09月01日

武井様(以下:T)、清様(以下:K)、堀内様(以下:H)、就職者 Mさん(以下:M)

クロスジョブ阿倍野 西脇/國方(以下S)

 

◆Q 御社の事業所では障害者雇用は初めてだったと思いますが、Mさんを雇用するまでと雇用してからの会社の変化はありましたか? ◆

K:)正直、ここは工場なので、雇用についてはどうなんだろうと思いました。その時は「いけるのか」というのは正直、思いました。Mさんがどういう状態なのか分からなくて、不安がありました。

H:)僕らもそこが怖いと思いました。

機械もあるし、音とかもあるので、聞こえにくいと聞いていたのでどうかなと。

K:)最初はどこまで聞いたらいいか、どこまで進めていいか探り探りだったけど、今となっては、正直な話、障害者とは思っていません。すぐ覚えてやってくれている。

忘れることもあるけど、「次何しましょう」って聞いてくれるし、これを障害者雇用と思っていない。どちらかと言うと仲間としか思っていない。

Mさんにも言っているが、Mさんができていない部分、それが個性だと思う。

僕らもできないことはあるし、そのような皆が集まって楽しくやっている。今、Mさんは、いてほしい存在、個性だと思っています。

S:)Mさんの努力の部分と会社の方の関わり、ジョブコーチで支援をさせていただき、ここまでになったと思います。

◆Q 障害者の方と働く上で大切にしていることはありますか? ◆

K:)Mさんの業務は増えていますよ。

危ないかなと思ってやらせてなかったものもあったけど、やってもらったら「適任」と思うこともある。努力をしているし、これは何をつけないとだめとか、作業を自分のものにしている。

Mさんは「えっ?」って言っているけど、作業は合っているし、きちんと把握しています。

H:)資格も取ってもらいましたよね。次はクレーンの資格ですね。

「先にやっておきましょうか」と言えたり、そういうこともちゃんとできるのは、次が分かっているからだと思う。出来ないことも、それは個性だと思うし、自分で考えて行動できている。

S:)資格取得の時もテストができないかもしれないと相談があったのですが、結果的に資格を取得しています。資格を取ることで作業の幅が広がり、Mさんの中にも次は何をするかを考える力にもなったのでしょうか。

M:)自覚はないですよ。

S:)Mさんは体で行動できている感じですかね。周りを見るという力も、自然と動いているのではないでしょうか。

◆Q この3年間で大変だったこと・難しいと思ったこと ◆

K:)僕らはMさんに対してないですよ。最初の頃のMさんは体力がなかったけれど、今は体力がついてきている。でもMさんは悩んだことがあるのかな。

H:)難しいというか、一つのことを覚えるのに、何回も何回も聞いて何回も何回も教えてくれるのがありがたかった。

自分で間違っているところがあったら、教えてくれるところが良かった。

何をしたらいいか分からなくて、あたふたあたふたしているときに「こうしたらいいで」と言われることが良かったと思う。

休み明けの月曜日に忘れることがあるけれど、それを一つ一つ教えてくれる。すみませんと思う。

M:)そこで謝らなくてもいいよ。Mさん、休憩中に冗談も話してくれる。言われっぱなしじゃなくて冗談で返してくれるから、やりやすいし、ありがたい。ここで仕事をしたいと思ってくれるならずっといてほしい。僕らは今、Mさんがいて当たり前になっているので、いてもらわないと困る。

ああでもない、こうでもない言いながらやっているのが一番良いのかなと思う。現場の皆が同年代ということもあり、お互いに体力もなくなり、物忘れも同じように出てくる。同年代だからこそ、やりやすさがある

◆昨年から年に1度旅行に行かれて親睦を深められています ◆

K:)去年からはじまりました。今月末もまた行きます。

H:)Mさんも、全員、楽しみにしている。

 

◆障がい者雇用をこれから始めるという会社様に向けて何かメッセージはありますか?◆

T:)障害の内容にもよるけれど、まずはできることを一緒に考えていけたら続いていくのだと思う。Mさんみたいに軽度だったら・・・というのもあるかもしれない。

S:)Mさんの場合、軽度には見えますが、記憶の面を考えるとしんどさを感じますが、Mさんの努力や周囲の方がカバーしてくれているのだと思います。

 

◆作業現場での障がい者雇用は危険予測を求められるため、企業は気にされる点だと思いますが・・・◆

K:)Mさんは素直さがある。素直だからすぐ聞き入れてくれるし、仕事は普通にやってくれているけれど、「怒られている」と思ってしまうしんどかったこともあると思う。

大きな声で「気にしなくていい」「怒ってないから」と伝えるけれど、作業現場だと大きな音が鳴る場所だし、かける声も大きくなってしまうと怒っているように聞こえると思う。Mさんにとってはしんどかったかなと思う。

T:)Mさんの記憶の状態を分かった上で、何回も同じことを伝えようと思うし、そうやって分かりあえてきた。

H:製造現場なので怪我したらダメだけれども、Mさんだからか、怪我せずに3年間過ごせています。

S:)まずはやってみようと言う気持ちが従業員の皆さんの中にあると感じました。

Mさんの努力と、従業員の皆さんがMさんを理解し、対応をしようとしてくれる双方の思いが合ったこの3年間だと思います。

少人数だからこそ、タイムリーにやり取りができる関係性を築かれているのかなと思いました。

【訪問を終えて】

Mさんが3年間続けられているのは、少人数での関わりでMさんを知ろうとしてくれている従業員の方の対応と、同年代の方々が集まり、仕事を楽しむこと、Mさんがいなくては困る存在になっていることが、環境も含めてMさんに合っているのではないかと感じました。

障害ではなく「その人の個性」として考えているという言葉はとても印象的でした。人それぞれ、個性は持っています。それが大きくでるか、小さく出るかの違いで、得意を発揮できる方はたくさんいらっしゃいます。障害のある方も普通に働ける社会はこういう社会だと感じました。