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リゾートトラスト株式会社 大阪人事総務部 人事総..2017年05月05日

リゾートトラスト株式会社様は会員制リゾートホテルの開発である会員権事業を始め、ホテルレストラン等事業、ゴルフ事業、メディカル事業、シニアライフ事業と幅広く展開されています。障害者雇用においては、これまで東京・名古屋に「事務支援センター」を立ち上げられ、社内の他部署と連携を図りながら事務業務を担ってこられました。障害者雇用の取り組みが高くご評価され、障害者雇用優良事業所として数々の賞を受賞されており、2014年には東京事務支援センターを天皇皇后両陛下が障害者週間にちなみご視察されています。

2016年2月より大阪にも事務支援センターが設立され、当初より支援機関との連携を重視されていたリゾートトラスト株式会社様より採用のご相談を頂き、その後クロスジョブ梅田、堺の2事業所から計4名の方が雇用に至りました。また、雇用だけでなく、体験実習の受け入れも積極的にご協力を頂いています。

今回は、リゾートトラスト株式会社 大阪人事総務部 人事総務課 事務支援センターの斎藤淳史様、そしてクロスジョブから就職された皆様にインタビューをさせて頂きました。

 

≪斎藤さま(以下S)へのインタビュー≫  クロスジョブ(以下CJ

Q1.御社での障害者雇用の歴史・経緯を教えてください

S)2006年に東京で5名の障害者の方を雇用したのがスタートです。障害者雇用をしていかないといけない流れもあり、仕事もダイレクトメール作成などの切り出しから行い、東京のオフィスでDM室という名の場所で始まりました。

CJ)雇用を開始された当初、従業員の皆さんの受け止めや反応はいかがでしたか?

S)事業所内での啓蒙を少しずつですね。最初はDM室だけポツンとあるような感じでした。雇用に関する社内の認知も苦戦していました。大きなきっかけになったのは、2013年に天皇皇后両陛下が東京本社事務支援センターに来られたことですね。そのことで社内の認知度もとても上がり、全社を挙げて取り組もうという風になりました。20162月の大阪事務支援センターの立ち上げに関しても一般社員の皆さんが積極的に関わってくれました。

大阪では8月に慰労会も行ったんです。働いているメンバー本人たちの希望で他部署の社員との交流を深めていきたい、自分たちのことを知ってほしい、知ってもらってもっと仕事をしていこうと本人主体で企画しました。たくさんの方が参加してくれました。

CJ)そういった交流の企画もしているのですね。主体的にやりたいと企画できるのはすごいですね。

S)そうですね。企画での交流もありますが、サンキューカードなど全社的な取り組みもあります。お互いに良かったことなど伝えていますが、他の部署の人たちからも、○○してくれてありがとうと、カードをもらったりします。みんなの喜びになりますね。

CJ)お互いにいろいろと関わる工夫もありますが、ここまで社内で雇用の理解が進むまではとてもかかることだと思います。

S)苦戦も多かったですが、やはり地道に業務の依頼に応えてきた結果かと思います。業務依頼してくれた人との結びつき、“あって助かる!”と思ってもらえる気持ちからですね。ご本人たちも成果が見えること、会社に貢献していると思えることでモチベーションが上がりますね。

Q2.働いている皆さんの人材育成やモチベーションを保つ取り組みを教えてください

S)一般社員のみんなと同じように、常に貢献していることをフィードバックしています。それから多役推進をしています。同じ仕事だけだと段々苦痛になりますし、新しい業務にチャレンジしていくことを大切にしています。日々新しい業務も舞い込んでくる職場です。また、担当業務を先輩スタッフから教えてもらうようにしています。先輩にとっても刺激ですしステップになります。

CJ)人に教えることで業務を振り返りできているかどうか確認もできますね。

S)そうですね。それに後輩ができることで意識が高まります。ただ、あまり上下関係でなく、あくまでも同僚としての関わりをと思っています。CJ)業務の面で東京の事務支援センターとの違いは何かありますか?

S)東京、名古屋の事務支援センターと同様の業務もありますが、大阪の場合は更に、スタッフの皆さんの方から「こういうことできます」と言ってくれたり、既存の仕事に入ってもらうのではなく業務をスタッフにオーダーメイドする形で、今のスタッフにできることを行っています。やや違う拡がりを作っていけていますね。

CJ)モチベーションを保ち上げる面では昇給・昇格など労働条件面もあると思いますが、その点はいかがでしょうか?

S)特例子会社ではないので、給与等に関する規定は分けられないですが、変えていけるようかけ合えればと思っています。

CJ)その他のステップアップに向けての取り組みや工夫はありますでしょうか?

S)そうですね。本人の「やりたい!」ということをできるだけ反映させることですね。スタッフミーティングでこれやりたいという声があれば、「じゃあやりましょう!」となる。自信になりレベルアップしていけます。

CJ)なるほど。その人の意欲をしっかり受け止め取り組みに繋げられているのですね。スタッフミーティングとはどのような事を話し合われているのでしょうか?

S)業務の改善案を自由に出し合っています。自分達の業務をより良くするにはどうすればよいかとか、先ほどの交流会企画とかですね。

CJ)改善点を話し合うことで、主体的に自分たちの業務を捉えていけますね。

Q3.御社では定期的に面談もされ丁寧に関わってくださっていますが、面談の必要性や位置づけはどのように考えられていますか?

S)開設後2ヶ月の間に15人を採用させて頂きました。一人一人の特徴・特性をしっかり知りたい、把握したいと全員に入社後面談をやってみたら、結構好評で気持ちを吐き出す時間があった方がいいとなり定着してきました。

CJ)面談は東京のセンターでもされていたことなのですか?

S)いえ、東京ではスタッフ全員に定期的な面談は行っていません。大阪は東京に比べ精神障害の方が多いので面談という形が定着したのかもしれません。正直初めは業務確保の難しさもあったので、その時間を面談したりすることもありましたね。ミーティングの中ではちょっと言えない人も面談だと想いを話せたりする人もいます。今は徐々に仕事が増えてきて、みんなの仕事が認められてきたと実感しています。

Q4.雇用をされる中で悩む点はありますか?

S)どこまでが企業の領分なのかということがあります。生活の中で問題があることもどこまで介入したらいいかと思います。でも人対人がベースで同じ社会人として、この時はこう思うよとアドバイスや対応をします。

CJ)生活面は介入しにくいことですね。その点は我々福祉の分野のサポートと感じますね。悩まれる時はどうされているのですか?

S)支えきれない時は支援機関の方にお願いしていますね。

Q5.クロスジョブから就職された皆さんに関わられる時のポイントは何かありますか?

S)一人の人は、周りの人との関係で、不適切なところがありましたが、ずっとガミガミは言わず、「ずっとここでいるのか?」という話もしましたね。一般枠でもできるかなという力もあると思うので将来のことも聞きました。その方の人生を考えることも大事と思っています。今のところはいると話してくれましたが。もう一人の人は、大人しいけどいっぱい言いたいことはある方。一般的な従業員よりも踏み込んで聞いていくことがあります。もちろん線引きをしながら。バックボーン含めてわかっていますよという安心感が大切ですね。信頼関係のベースになると思います。

Q6.これから皆さんが働き続ける為には何が必要だと思われますか?

S)セーフティーネットとして、状態把握のためにもお互いにコミュニケーションをよく取ることですね。それも良い時も悪い時も両方大切です。安定しているからいいやじゃなくて、何もない時も話を聞く事ですね。いろいろ話から広がりが出ます。その人を見ること、その人を知ることを後回しにしないことですね。

CJ)とてもよく分かります。悪い状態の時にしか見られていないことがあります。全部丸ごとのその人を知ること、その為に日頃からのコミュニケーションが重要ですね。働く皆さんにこれから期待されることはありますか?

S)毎日会社に来て楽しいと思って働いてもらえるようにしたいですね。その為にどれだけ環境調整ができるかが自分の仕事ですね。それから、主体的に仕事を続けていってもらえるかですね。元気に毎日仕事ができるといい評価になる、そうすると仕事もまた増え良い循環になると思います。

Q7.今後の雇用促進に向け、クロスジョブなど支援機関に求めること、期待することはありますか?

S)難しいことだと思いますが、ご本人といつまでも繋がっていてほしいと思います。別に支援機関に繋いでという事もありますが、やはり就職活動を一緒にしたことなどはその人に残り続けると思います。その方にとっていつまでも頼れる存在であること、何年か経った後に「あの時しんどかったよね」と振り返られること、そういう人がいること、つながりを維持できることはとてもいいと思います。今回される表彰式なども取り組みもとても励みになり良いと思います。

 

≪就職された皆さんへのインタビュー≫

■Aさん

実際に働いてみて感じること

実際に働いてみて、会社ではもっと怒られると思っていました。ここでは、「次はこうすればいいかもしれない」「次は気をつけましょう!」という声掛けをしてくださります。一緒に考えてくれる姿勢があります。ミスを減らせるきっかけにもなります。

働き始めてみて感じる自分の成長

実感はないです。数年続けると感じられるかなと思います。

配慮してもらい働きやすくなったこと

業務に「配送」を入れてもらうことで、外に出られ、集中も続きます。23階の人とも話せる機会になっています。中の業務も変化をつけてくださっています。それによって、集中を続けながら作業が出来ています。

今後頑張っていきたいこと

一通りの業務を分かるようになりたいです。そして、仕事を任せられるようになれれば、モチベーションにもなっていくと思います。

 

■Bさん

実際に働いてみて感じること

大変だなーって感じます。クロスジョブにいるときと違います。責任を持ってやらないといけないし、チームワークが重要です。積極的に同僚と報連相をしないといけないし、責任が伴うのでプレッシャーもあります。

CJ)責任を感じておられるんですね

斎藤さんがガス抜きできるようにコミュニケーションを取ってくださりました。同僚も気遣ってくれます。みんな仲がよくて、「大丈夫」という安心感があります。

働き始めてみて感じる自分の成長

クロスジョブでは、忙しそうな上司(スタッフ)に声を掛けることが難しかったです。でも、働き始めると忙しそうな上司に対しても「こっちも忙しいから」という気持ちを持てるようになりました。気が強くなったと思います。

仕事に支障があるものは、すぐに相談できるようになりました。元々は「言ってもいいんかな」って思っていましたが、「我慢してるでしょ」と周囲が分かってくださります。

働き続ける上で努力していること

気持ちのコントロールと体調管理です。自分が何を考えて、何を思って、何が苦しいのか考えるようになりました。働き始めて、より重要性を実感しました。

クロスジョブでの訓練を終えて、働くステージに立ち、気持ちや考え方に変化があったこと

人に頼ることに、前までは申し訳なさがありました。でもそれで仕事が出来なくなったら意味がないです。ひっかかっているなら相談した方がいいと今は思っています。受け止めてくださると分かるくらいの関係になっています。大丈夫じゃない時に『大丈夫じゃない』と言えます。これは、ここ23か月の話です。プレッシャーを与えない言い方をしてくださります。周囲の方と比べてしまい、劣等感でしんどくなることはありますが、相談しています。私は私でいいんじゃないかなって思えています。

配慮してもらい働きやすくなったこと

急な変化は苦手なので、事前に伝えてもらっています。

今後頑張っていきたいこと

私の周りはよく出来る方ばかりです。私がおろおろしている間に、どんどん作業が進んでいきます。だからしっかりした人になっていきたいです。自分の知っていることだけでなく、難しいことでも知っていきたいです。ここは天国です。

■Cさん

 ※自分の想いを言葉で表現することが難しいCさんです。これからもここで働き続けていきたいですかという質問に、「はい。」と答えてくださりました。

■Dさん

実際に働いてみて感じること

大変です。でもやりがいを感じます。前職は自分の成果が見えにくかったですが、ここは名刺作成や契約書作成など目に見えてわかりやすいです。

働き始めてみて感じる自分の成長

気さくな方が多いので、人と話せるようになりました。

働き続ける上で努力していること

仕事とそうでない時ときっちり分けることです。入社してから意識しています。仕事のときは仕事に専念して、仕事が終わったら仕事のことは考えません。余分なストレスを抱えないようにしています。

働く上で、一番大きな壁(しんどいこと)を感じた時(あれば教えて下さい。)

納期が短くて、体がこたえる時があります。

クロスジョブでの訓練を終えて、働くステージに立ち、気持ちや考え方に変化があったこと

クロスジョブにいた時ももちろん学びはありましたが、仕事は仕事でしか学べないことがあります。

配慮してもらい働きやすくなったこと

私は肩こりがひどいのですが、長時間下を向く作業は避けてもらっています。

今後頑張っていきたいこと

昇進に向けて頑張りたいです。そのために与えられた業務に+α 出来る人になりたいです。

≪終わりに≫

今回、インタビューをさせて頂き、企業の皆様がとても愛情を持って働くスタッフに日々関わられていることが強く伝わってきました。“障害者雇用”だから限られた仕事だけすればいいというのではなく、当たり前に社会人として、一社員として企業に、業務に主体的に関わり、その中で成長と誇りをどう引き出し、そして見守るのかという点。そして、働く人みんなが楽しく幸せを感じられる会社作りとして、何かシステムやツールがあるわけでなく、人と人との結びつき、信頼関係をどこまで作れるかを礎にされていることは、障害者雇用だけに限らず、重要な点であることを実感しました。

いつも温かな空気がある企業様の現場ですが、働かれている皆さんからも、会社の方を信頼し、安心して働かれている声を聞かせて頂き、素敵な“相思相愛”の関係を感じることができました。

大変ご多忙の中、インタビューにご協力くださりました、斎藤様、そして就職者の皆様、貴重なお話を本当にありがとうございました。

今後とも、末永くお付き合いくださいますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。