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2018 クロスジョブ障害者雇用促進フォーラム 企業訪問第8弾
今回ご紹介させていただくのは、特別養護老人ホーム「浜木綿苑」様です。こちらではクロスジョブ梅田から就職されたKさんが勤務されています。
地下鉄中央線「コスモスクエア」駅からサークルバスで約5分の所にあり、きれいなマンションのような建物です。Kさんは介護補助のお仕事に就かれています。浜木綿苑様はKさんにとっては「職場」ですが入居者様にとっては「生活」の場であるため、職員の方々は交代制で24時間常に勤務されています。
職員の采井様のご案内でKさんのいる4階へ上がりました。そこではKさんが利用者さまの午後のお茶を準備しているところでした。采井様に促されてKさんと面談ブースへ着席し、まずはKさんからお話をお伺いしました。
Kさんご本人、上司:采井様 クロスジョブ(CJ)中村、森實、山神
以下、省略して(K)(采井)(CJ)として表記いたします。
【Kさんが訓練で好きだったこと・仕事で役にたったことは】
K:漢字の練習
CJ:どんな時に役に立ちましたか
K:利用者さんの漢字
CJ:利用者さんの名前を読んだり覚えたりすることに役立ったんですね。
K:(うなずく)
【訓練で嫌だったものは】
K:ないです
【自宅から職場までの通勤時間】
K:7時25分に出発して8時16分につきます
CJ:通勤はしんどくないですか
K:しんどくないです
【浜木綿苑での仕事内容】
CJ:曜日によって違うんですよね。月曜日のお仕事の内容を教えてもらえますか?
K:〔午前〕挨拶⇒洗濯⇒食器洗い⇒口腔用コップ洗い⇒リネン(シーツ交換)⇒利用者さんの部屋の清掃
〔午後〕お茶配り⇒夕方の食事用エプロン準備⇒加湿器の水の補充
采井:曜日によっては、お風呂の日に昼から洗濯物を片付けたりしてもらっています
【浜木綿苑の出勤日】
Kさん:月曜日から金曜日。9:00~16:30です。
【働いていて嬉しかったこと、良かったこと】
K:利用者さんとのおしゃべり
CJ:どんなことをお話しますか
Kさん:「暑いね」とか
【仕事中に困ったこと】
K:利用者さんの名前を覚えること
CJ:そんなときどうしましたか
K:メモに書いて覚えました
CJ:その方法は誰かに教えてもらったんですか?
K:自分で。
CJ:自分で!訓練でやってたなあと思いだせたんですね。じゃあ訓練でやったことは役にたっていますね
K:(笑顔でうなずかれる)
【浜木綿苑での仕事内容について】
CJ:利用者さんの名前を覚えるのは大変じゃないですか。全員の顔は覚えていますか?
K:はい
采井:お茶配りも、利用者さんによっては急いで飲んでしまうので、コップを放して置かないといけない方もいらっしゃるんですが、Kさんはそれを全て把握してくれています。
CJ:個別の対応もできていらっしゃるんですね。それを覚えるコツはありますか
K:ないです
CJ:きっと毎日休まずに一生懸命お仕事する中で覚えていかれたのでは。
【浜木綿苑で働いてよかったと思うこと】
K:職員さん。優しくていい人
【3年間で変わったこと】
K:笑顔です。
CJ:そうですね。訓練でお会いしていた時の緊張した表情に比べて、浜木綿さんで働き始めてから、Kさんが浜木綿でお会いした時にいつも笑顔で挨拶してくださるのを見て、変わったなあと思いました。
【休日のすごしかた】
K:堺にいた(利用者さんの)Mさんとよく遊んだりします。
CJ:なにをして遊びますか
K:一昨日は神戸のハーバーランドで観覧車に乗りました
CJ:休みの日にしっかりリフレッシュしてお仕事頑張っているんですね。
CJ:他にありますか?
K:入院している祖父のお見舞いにいったりしています
【仕事をしていてやりがいを感じること】
K:手順通りに仕事をすること。できたら達成感があります
【3年間続ける事ができた理由】
K:名前を覚えているから続けられています
【これからの仕事の目標】
K:シーツ交換のスピードを上げてたくさんできるようにしたいです
【訓練生に向けてアドバイス】
K:周りの人の名前を覚える事、周りの人に挨拶をすること
次にKさんの直属の上司である采井様にお話をうかがいました。
采井様はKさんが採用された当初から、上司としてご本人を見守ってきてくださっています。今回はこの3年間を振り返ってのお話を伺うことができました。
【Kさんの採用の決め手は?】
采井:当事業所は4フロアあるのですが、9年前には間接介助の職員は一人しかいませんでした。障害者雇用を増やしていく中で、実習を通してKさんを間接介助の職員としてやる気がある方と判断し採用しました
【採用して良かったところは?】
采井:Kさんは女性なので、男性職員よりもよく気付いてくれるところがありました。
利用者の方の洗濯物を扱う際、男性社員では服への関心が低いため気づきにくい生地の破れに気づいて下さったり、着る時に組み合わせがいいように準備をしてくださるなど
【コミュニケーションや意思疎通は、当初と今と比べては?】
采井:正直初めはあまり取れていなかったと思います。
最初は業務を覚える事で頭が一杯だったのではないかと思います。その頃はこちらから声掛けをしてお話しされるような状況で自分から話しはほとんどされなかったです。今は積極的に自分からお話をされています。経験を重ねて少しずつ、利用者さんと笑顔でコミュニケーションが取れるようになってこられたと思います。それはKさん自身もそうおっしゃっていました。
CJ:訓練でのKさんは人見知りもおありでなかなか自分から人に声をかけることが難しい印象でした。
采井:経験年数もあると思います。同じところで働いているなかで、Kさん本人も周りの皆さんのことを覚えていかれ、慣れてこられたこと、また、利用者やそのご家族様もKさんのことを覚えてくれて、どなたにでも挨拶や声を掛けることができるようになったのかと思います。
CJ:時間はかかるけれど、慣れていくなかで出来るようになった感じでしょうか?
采井:そう思います。
CJ:すぐに出来る事を求めずに、ご本人のペースで慣れていくという事を待っていただけた事、認めていただけた事は、ご配慮いただけたところだと思います。
【シフト制で指示者が変わりますが、引き継ぎなどはどのようにされていますか?】
采井:間接業務はKさん一人で担当していただいていますが、シーツ交換や洗濯物など1日の決まった作業が全て終わらなかった時は、その時点の担当者へKさんご本人から就業時に報告に来られます。
イレギュラーな部分で、夜間帯にシーツ汚れがあった時など、決まった作業以外でも随時お伝えして取り組んでもらっています。指示はその時の担当者ごとに行っていますが、ご本人がしっかりご自身の仕事を把握してくださるので、問題ありません
【採用後のご本人の変化は?】
采井:仕事に対して良い意味で余裕がでてきたと思います。業務の時間配分、「この業務からやっていった方がいい」ということを考えて取り組めるようになってきました。そして、余った時間で利用者さんとコミュニケーションを取られています。こちらで提案している業務だけだと利用者さんとコミュニケーションをとる時間が取れないんですが、Kさんは時間を作って取るようにしてくださっています。
【この業務をしていただくことで「助かっている!」というような点はありますか?】
采井:洗濯物畳みです。20人の洗濯物の片付けを1人でやってくれています。すごく助かっています。
【采井様さんから見て、ご本人がこの点が困っている、悩んでいるのではと感じられる点は?】
采井:ないと思います、3年間の中で困っているなという時はあり、業務の内容替えもありましたが、今の時点ではないと思います。
【どのように内容を変えられましたか?】
采井:シーツ交換の曜日による振り分けです。水曜日はお風呂の日ではないので、水曜日にシーツ交換の数を増やしたりしました。
【訓練ではゆっくり取り組むタイプの方でした。時間内に出来るようになったのは何か取り組みがあったのか?】
采井:ジョブコーチの方にテーブルの拭き方とかも指導してもらったと思います。
洗濯物の畳み、一個に対する時間がかかりすぎていた為、施設の方から連絡させてもらって、何回か足を運んでもらった時もある。
CJ:必要に応じてジョブコーチと連携を取り改善もできていったというところですね?
采井:そうですね。
【これから頑張ってほしい部分や期待している部分は?】
采井:Kさんも言っていた笑顔。
今も十分明るいですけれど、今以上に明るくなってもらったら、より嬉しいかなと思います。
【3年働き続けられているのはなぜだと思いますか?】
采井:職員がやさしいと思います。みんなが比較的に声をかけてくれ、休憩もみんな一緒です。
【雇用管理の工夫は?】
采井:一般雇用、障害者雇用関係なく、人間関係が大事かなと思います。
【人間関係を大切にされているとのこと、どんな工夫をされていますか?】
采井:離職を防ぐ為に、業務の延長で別のフロアで働いている職員も含めて交流会などを行っています。
1階の喫茶コーナーを使用して、他のフロアの方ともコミュニケーションを深めています。
【雇用管理のうえで貴社の特徴を教えてください】
采井:障害者雇用や外国人の方も雇用もしていますし、健常者と障害者も区別せず同じように接してます。
【他に障害者雇用は?】
采井様:全フロアにいます。雇用率は意識していません。戦力になってくださっているので。
最初に雇用された方ももう9年続けてくださっています。
【Kさんが4階から異動しない理由は?】
采井:(自分が担当の部署でKさんという人材を)放したくないから。大切な戦力ですので。
【これから実習に来られる方に訓練で身に付けてほしいことは?】
采井:挨拶は最低限必要だと思います。
【最後に采井様より】
この業界は気付きが大事ですが、Kさんは夏の暑い時に、自分からスタッフにお茶を持ってきてくれることがありました。業務になれてきてまわりへの気付きや配慮も以前よりできるようになってこられていると思います。
◆インタビューを終えて
Kさんへのインタビュー中も、横で穏やかな表情でお話を聞いておられた采井様ですが、最後の最後に「戦力だから放したくない」という、部下冥利に尽きることを仰ってくださいました。訓練当時を知るCJスタッフはKさんの変りように驚いていましたし、私(中村)自身もクロスジョブ堺で一緒に訓練を受けていた仲間が劇的に変っていくのを目の当たりにしたことがあります。「訓練・仕事を頑張った自信」が人を育てるという好例だと思います。Kさんが今後も笑顔を絶やさず、元気良くお仕事を続けられることを応援したいと思いました。
≪インタビューにご参加いただいた皆様≫
◇インタビュー対象者
特別養護老人ホーム 浜木綿苑 上司 采井 様
勤務 Kさんご本人
◇インタビュアー
クロスジョブ梅田 森實、山神
クロスジョブチャレンジャーズ 中村