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2018 クロスジョブ障害者雇用促進フォーラム 企業訪問 第14弾   宇部興産株式会社堺工場においてNさんを初めて障害者雇用枠(宇部興産ではパートナー社員と呼んでいる)として採用。 雇用に至るまで、クロスジョブスタッフの企業見学、スタッフ体験実習、ご本人の見学、実習を含めると、約8ヶ月の事前準備の期間がありました。 就職後、約半年が経過する中、職場の方とNさんの現状をインタビューさせて頂きました。   ◇障害者雇用に対しての想いについて 家重様)堺工場では初めての挑戦だったのですが、宇部本社では前例があり、特例子会社もあったこともあり、その状況や働きぶりを見て、これから必要になる存在だ、と思いました。ただ単に雇用するだけではなく、土台作りや枠組みをしっかりと作ることで永続的な雇用を目指し、将来的に多方面で業務を担ってもらうことで、全体の作業時間削減に貢献してもらうなど、働き方改革の一環として組み込んでいくことを意識しました。 辻)Nさんの週間スケジュールを家重さんが全部立案してくれていました。それを聞いてNさんはどう思いますか? Nさん)私のためにしっかり計画とか練ってくれていたのだと感じました。 辻)クロスジョブとしても一人の人を雇用していくことを考えている会社だと感じました。同じ堺市内で障害者雇用、働き続けることについて一緒に考えていける会社だと感じました。今となってはNさんが宇部興産にとってなくてはならない存在。トライアル雇用の前に2週間の実習をしましたが、その時の感想を聞いても良いですか? Nさん)最初だったので大変でしたけど、1週間・2週間と仕事を覚えてきたので、このまま終わってしまうのはもったいないと思いました。 辻)そういう想いをクロスジョブは受け止め、会社へ伝えていきました。   ◇トライアル雇用に進んでも大丈夫と思ったきっかけについて 家重様)まずは体調面。いろいろと関連施設を見学している中で、職業準備性のピラミッドの土台部分が一番大事だと知り得たので、実習で8時間働ける体力があると分かったことが1つ。2つ目は、実習2週目から名刺管理を依頼したところ、上手く処理出来ていたので「PC業務もいけるぞ」と感じたこと。あとは(仕事に対して)実直であったこと。この3つでした。   ◇クロスジョブでの訓練が活かされたこと・取り組んでよかったことについて Nさん)苦手な作業だったのは、立ちっぱなしの作業でしたが、会社でもシュレッダー業務があるので、練習になったと思います。 家重様)シュレッダーの量が多いので、1~2時間フルで稼働することもあります。立ち仕事になりますが問題なく出来ています。 辻)名刺のデータ化をする業務もありますが、実習の時に訓練が活かされたと感じたことはありますか? Nさん)名刺に書いている内容を入力する作業はクロスジョブでもしていました。宇部興産に就職して、今の仕事に役立てて良かったです。   ◇雇用の前に2週間実習をして良かったことについて 家重様)まず障害者雇用が初めてということで、他の従業員が「こういう感じで進めていくんだ」という準備期間が出来たことが良かったです。雇用は私一人だけでなくチーム全体で協力して進めていますので、実習を挟むことで心の準備・雰囲気を作ることが出来ました。   ◇雇用して良かったことについて 家重様)実習でNさんにしていただいた内容というのが、少しの業務でも担当者の負担軽減に繋がるもの、言うなれば「痒い所に手が届く業務」をNさんにお願いしました。雇用後はもっとバリエーションが増え、負担軽減が実感できるように。このことにより、自分たちの業務にゆとりが出来始めたことが良かったなと。 辻)今の頑張りが次の作業の切り出しに繋がっているのですね。Nさんが働いて良かったこと、困ったことはありますか? Nさん)何より職場の方が親切。体調の事も心配してくれます。会社の送迎バスの時間が決まっているので朝が早いですけど起きるのも慣れてきました。 辻)生活リズムの一部となってきていますね。日々Nさんが頑張って取り組んでいるからこそ、周囲の理解が進んだと思うのですが、家重さんはいかがでしょうか? 家重様)そのとおりです。Nさん自身が頑張っているからこそ、総務チームに限らず他部署の従業員とも協力的に進めていけるのだと思います。   ◇意識して配慮しているところについて 家重様)体調面は、特に気を付けています。他の配慮はというと、業務をステップアップ形式で行っていることが挙げられます。1から10ある業務でも、まずは1から3まで。それが出来たら次は1から6まで担当してもらうなど、徐々にステップアップして担当業務の幅を増やすようにしています。すぐに出来る業務(例:請求書にのりを貼る)などは最初から最後まで頼んでいますが、業務によって西村さんの様子を見ながら臨機応変に対処しています。 辻)この指示の出し方は、Nさんにとってもありがたいですか? Nさん)はい。 辻)猛暑で、外の仕事もありますが辛い仕事はありますか? Nさん)除草作業は蚊にかまれやすいです。また熱中症にならないように気を付けないといけないと思いました。 家重様)熱中症計を持って作業してもらっています。ある一定の熱中症指数になった時点で作業を中断してもらい、代わりに事務作業をしてもらいます。   ◇仕事のやりがいについて 辻)仕事の幅が広く、また仕事量も徐々に増えてきていると思いますがやりがいはありますか? Nさん)仕事が色々あり、仕事をしていくうちに出来る事が増えていく事です。 辻)それがモチベーションに繋がっているんですね。どんな時に達成感を感じますか? Nさん)仕事の仕方を一通り覚えた時です。 出原)自分が得意な仕事はありますか? Nさん)パソコンを使った名刺入力です。 辻)1日多い時、どれぐらい入力しますか? Nさん)1日50枚ぐらい。 辻)名刺入力の業務をすることは多いですか? 家重様)現在、名刺取り込みを約1000枚してもらいました。今後は他部署から依頼を受け、名刺を預かって入力し返却する、という業務を検討しております。 Nさん)最初は、ちょっと眠くなる時もありましたが。   ◇雇用開始後、約半年が経過する中でNさんに対してのイメージの変化について 家重様)実習当初からから仕事をそつなくこなすというイメージでした。雰囲気は昔も今もと変わらず、Nさんのままだなと。ただ、仕事のスピードやビジネスマナーなどは着実に成長しているように感じます。 辻)制服がしっくりきて馴染んでいますよね。宇部興産で働いて良かったことはありますか? Nさん)時間を有効に使えるようになったこと、洗車などいろんな仕事ができたこと、自分でお金を稼げたことの3つです。 辻)時間を有効にとは? Nさん)仕事での時間。 辻)時間が決まっているから作業がしやすいということですか? Nさん)そうです。 家重様)通帳を見て「こんなに貯まっているのや」と感じたという話がありましたね。それを感じてもらえたのは嬉しかったです。 辻)ご両親はなにかおっしゃられていますか? Nさん)それだけ仕事で頑張ってきたんやでと。 辻)休日はどのように過ごされているんですか? Nさん)家族や友人と出かけることもあります。 辻)入社当初と今の自分の違いはありますか? Nさん)「最初は草刈りとか本当に出来るのか」と思っていましたが、やっていくうちに出来ました。朝出る時間など環境も変わりましたが慣れてきました。   ◇今後期待していることについて 家重様)業務の量を増やすと共に、1つ1つの業務のレベルアップを考えています。最終的な目標としては、インプットからアウトプットまで自身で判断して自身で業務をこなしてもらうことです。 Nさん)少しでも会社の役に立ったと思ってもらえるように取り組んでいきたいと思っています。 家重様)そうですね、役に立てたと思うことをやってもらいたいと思います。名刺管理もNさんのところに依頼がきて、それをNさん自身でスケジュールを組んで仕上げるとなると理想ですね。   ◇Nさんの継続雇用について 家重様)現状、問題ないと考えていますが、気になるのは体調面でのトラブル。健康的な生活習慣が継続雇用を考える上で大事だと考えています。   ◇現在訓練を頑張っている皆様への先輩としてのメッセージについて Nさん)最初は難しくて慣れないことが多いですけど、慣れたらできるようになります。自信を持って取り組んで欲しいと思います。 辻)OG・OBの方の言葉は支援者が代弁できない内容です。響く人はたくさんいると思います。   ◇他の企業様に聞いてみたいことについて 家重様)管理間接部門で障害者雇用として働いている方々の業務内容の詳細が知りたいです。どんな工程・形で業務を提示しているか、どのように工夫されているかを知りたいです。   ◇障害者雇用を初めてする企業へのメッセージについて 家重様)発信したいことは、業務の切り出し方。障害のある方だから軽作業中心、という考え方ではなく、まずは色々な部署にヒアリングをして、細かい工程単位まで検討していくと見えてくることがあると思います。担当者のイメージのみで出来る・出来ないを判断するのではなく、まずはやってみてダメだったらまた考えたらいいと思っています。         ◆ インタビューを終えて ◆ Nさんの期待や希望が、「就職したい」から「働き続けたい」に変わっていることを肌で感じることが出来ました。インタビューを進める中で家重様からは、Nさんのその想いに応える雇用管理の在り方を学ばせて頂いた気がします。障害者雇用を単純に雇用率ありきの雇用として捉えるのではなく、ご本人を企業内戦力として捉えて一緒に仕事をする姿勢が学びの機会となりました。今後も同じ堺市内に事業所を構える企業様として、継続就労について相互連携が出来ればと思っております。 今回、お忙しい中、インタビューのお時間を頂き、誠にありがとうございました。 引き続き宜しくお願い致します。     ≪インタビューにご参加頂いた皆様≫   ◇インタビュー対象者 ・工場管理グループ総務チーム 家重 様 ・就職者 N 様   ◇インタビューア ・クロスジョブ堺  辻 ・クロスジョブ鳳 出原 ・クロスジョブ鳳 松本