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2018 クロスジョブ障害者雇用促進フォーラム 企業訪問 第15弾
今回は、堺事業所が施設外就労先として日頃からお世話になっている【奥野晴明堂】の奥野社長、ならびに現場を監督されているM様に、お話を伺いました。
普段は、月曜日~金曜日までの週5日、10時~15時までの間、支援スタッフ1名、利用者3~4名でお線香の箱詰め作業の仕事を任せていただいております。
クロスジョブと奥野清明堂の関係性について、「働き続ける」ということについて、お2人にインタビューさせていただきました。
◆作業内容は、障害を持つ方に合わせて特別に切り出したものではない
奥野社長(以下、省略し「社長」と表記します):クロスジョブさんより以前に、他の作業所の皆様に、作業をしてもらっていました。実は、それ以前から線香の業界でも中国製品の流入が増えており、それに対抗するコストダウンの手法として、当社は内職作業を取り入れていました。その業務の一端を、当時も今も障害を持つ方々にしていただいています。
M様(以下敬称略し「M」と表記します):そのころは、固定されたメンバーが毎日作業をしに来られる、という形でした。クロスジョブさんとのやり方の違いを強く感じています。毎日違うメンバーが来て、皆まんべんなく作業を担当してもらったり、毎日、振り返りを行う時間を設けていたり、利用者の方々の成長についても、他のスタッフとの話題に上ることもあります。「前は〇〇だったけど、最近は〇〇ができているね!」とか。
◆利用者の出口を見据えた上での施設外就労先として
社長:障害を持つ方の働く場を探されている事業所との関係がWin Winとして成立したことが、そもそもの経緯です。ただ、その関係の継続が難しかった要因として…
福祉的就労である作業所の性質上、利用者の方々に支払うための収益の確保が必須であること
それが内職の基準での工賃では成立が難しいこと
の、2点がありました。その後に一般企業への就職という「出口のための訓練」として、お仕事に来てくださる、クロスジョブさんとの出会いがあったという流れです。
M:先ほどの話と重なりますが、方針が違いますよね。就職を目指して訓練している、という意識を持って、指導・振り返りを行っていること、支援者と利用者の方々の会話の内容など、とても参考になります。そして、皆ちゃんと就職していっている。嬉しそうに「就職したので、今日が最後になります」と、最後の挨拶に来てくれる度に、私達も嬉しさを感じています。
◆障害を持つ方を職場で受け入れた理由
社長:当社にとっては、互いにメリットが共有できた為。その一方で、障害を持つ方々が社会に役立つ喜びを実感してくれている手応えがありました。クロスジョブさんの受け入れは、完全に私からのトップダウン的な号令のもとにスタートしました(笑)。企業の規模にもよりますが、組織の動かし方として、トップダウンが必要な局面というのはよくあると、私は考えています。当然ですが、自分の責任の基に行うことを前提として。
当初は、作業所とのコラボを前面に打ち出した商品展開も行い、5個以上購入でプレゼント付きということもやってみたりしていましたね。プレゼントの費用は当社が負担していました。社会貢献に対しての弊社のアピールを思えばということですね(笑)消費者側からの声をすい上げる事で制作側(作業所)との距離感を縮められました。
M:社長の判断で始まったことでしたね(笑)。他のスタッフもすんなりと受け入れてくれていました。今ある作業を、そのまま引き継いだこと、我々が直接指導をしないことも、すんなりと進んだ理由かもしれません。内職の体制ができた後、最初は定時制高校の生徒の受け入れから始まって、作業所さんの利用者に来ていただく形になりました。
◆働き続けるために
社長:どうしても「やらされている」という感が強いと、働き続けることは難しいと思います。本人の意志のもとに知識を身に着けながら働く。それは明確な目的があってこそ成功するものだと。
我々自身、やりたくないことをやらされているという気持ちを持ちながら働くことはよくあります。でも、それだけではない、働くことに喜びを感じている瞬間がある。だからこそ働き続けることができる。働くことの喜びを伝える指導をどのように行っているのかをクロスジョブさんにお伺いしたいですね。
M:色々なことを経験してほしいと思います。自立も大切なことですが、社会と関わりを持って生きることも大事。社会に出れば、我慢しなければいけないことや頑張らないといけないこと、歯を食いしばらないといけないこともあります。社会との関わり、仲間との関わりを持って働き続けてほしいですね。
◇ インタビューを終えて ◇
奥野晴明堂とクロスジョブとの関係が「Win Win」と捉えて頂けていることは、利用者の皆様のおかげに他なりません。
社長からお尋ねいただいた「働くことの喜びを伝える指導」について、インタビュー当日には、職場での体験実習・雇用前実習の実施からジョブマッチングを図っていることを中心にお答えさせていただきました。今改めて考えると、これは我々自身も日々の利用者様との関わりから学ばせていただいている、「支援の根幹」ではないかと、遅まきながら思い至りました。
毎日の訓練、就職へのステップアップの各場面において、利用者の皆様からの発信や行動によって、それぞれの「働く喜び」を教えていただき、我々はそれに共感し、支援させていただいているに過ぎなく、またそれ以上であるべきではないのでは、とも思います。
同時に、企業の方から「明確な目的を持つ」「社会との関わり・仲間との関わりを持つ」という、「働き続けること」に対する答えを頂けたことも、支援者として自分なりの答えを持って働くことの重要性を再認識させていただくきっかけとなりました。
インタビューにご対応いただきまして、誠にありがとうございました。
≪インタビューにご参加頂いた皆様≫
◇インタビューイー
・奥野晴明堂 奥野社長 様
・奥野晴明堂 M様
◇インタビューア
・クロスジョブ堺 今村 徳谷