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 この度、結婚式場での仕事が決まりましたくらのです。    2017年10月、信号を無視して時速70㎞で突っ込んできた車との交通事故により、高次脳機能障害を患い、その後の回復期間を経て、2019年8月よりクロスジョブにお世話になりました。    今回の就職が決まるまでの1年と6か月。  振り返ると、入所当時はこのクロスジョブホームページのトップにある「高次脳機能障害」コーナーに書かれた「症状について」の項目のほぼすべてに多かれ少なかれ該当していたような気がします(無かったのは「判断力の低下」くらいでしょうか)。    それぞれに程度の大小はあれ、そうした様々な症状と、これから強制的に「上手く」付き合っていく方法を、私はクロスジョブで学ばせていただきました。      クロスジョブに通うようになり、まず私を悩ませたのが「病識の欠如」でした。 「自分自身の障害が認識できず、障害がないかのような言動を見せる。」と記載があるように、当時の私は「何ができて何ができなくなっているのか?」という基本的な部分がおさえられておらず、健常だった頃の記憶から、すぐに「ああ、それならできます」と返答してしまい、実際にはできない、もしくは自分が想定した結果とは違う結果となってしまう、といった事が度々ありました。  ただ、私の場合、恵まれていたのがスタッフの方々が、何かと私の受け入れやすいようにソッとフォローしてくださった点と、健常だった頃から磨いてきた「本質を見抜く」力が残っていた事が、結果的には良かったのではないかと思います。   「本質を見抜く」を言い換えると「なんとなく形を整える」となります。  読まれている方の多くがココで「は?」と疑問を感じられたかと思うのですが、そもそも「本質を見抜く」というのは、まず問題が提示されて、その結果として導き出される解答がいかに「問題を提示した側が求める形」で返答できるか。だと、私は考えています。  逆に言えば「問題を提示した側が求める形で」返答できていれば、多少の誤差は許されてしまうのです。    ですから解答は「なんとなく形が整っている」カタチでもOK。  なぜなら「問題を提示した側が求める形」を理解する為には、出題者が「問題を提示した理由」を考慮する必要があるからです。  つまり「問題の本質を見抜く」事さえできていれば、結果的に「なんとなく形が整う」わけです。    概念的な話となってしまいました。申し訳ありません。  まあ、ともかくそんな調子で出来る事、出来ない事を確認しながら、次のステップとして進んだのが企業実習でした。      正直に述べると最初の何社かは"真面目に""誠意をもって"業務を遂行していることで良い評価をいただけました。  ただ、実際に就業することで判明したのが"体力の衰え"と"就業先業務へのこだわり"でした。    高校、大学時代と体育会系の部活動を通して、体力面に自信があった私でしたが、事故を通して体力が激減していた事に気づけていなかったのです。あと、強く就業先に求めたのは将来的な展望。    言い換えれば"ポット出で終わりたくなかった"とでも言えばいいのでしょうか? ともかく"がんばれば開く未来"を強く求めたのです。      そんな私がスタッフのススメで受講したのが、関西圏の障がい者雇用のパイオニア的存在である一流企業主催の職場実習でした。  もしソコで良い評価をいただければ、将来的に雇用もあり得るというので、意気込んで参加させていただいた実習! …ですが、結果は散々でした。  イロイロ失敗した中で、一番大きかったのは郵便物の配達業務で、会社への配送物を社内の指定されたフロアー内の各人物に届けるという作業でした。  「○○課宛の郵便物は△△さんへ」「■■さん宛の◎◎課の郵便物は■■さんではなく××さんへ」といった事を確認して配達する業務途中。  短期記憶に障害がある私は、なんと1分前に聞いたはずのその配送先がわからずに硬直してしまったのです!!    その後、かなり委縮しながらも業務を遂行した私に対し、実習先企業の指導官は言ってくださいました。 「もう少し、自分の障害と真正面から向き合うようにしましょう!」    その言葉で目が覚めた私。  言われてみれば単純な事でした。  確かにそのままでも、それなりの職には付けていたかと思います。  ただし、長続きはしなかったのではないでしょうか。    将来的な展望を望むのなら、自身がまず将来をイメージしてもらえるような人物にならなければいけない。  その為には、障害を持つ私なのだからこそ"文字通り"人一倍努力しなければいけなかったのです!      その後はクロスジョブでの課題への取り組み方や、大きく言えば精神的な姿勢にも変化が生まれました。    望まれていることは何か? 本質を見抜くためにはどうしたらいいか? 本質を見抜けるのなら相手が望む理想的な答えに近づけるにはどうするべきか?    事あるごとに業務についてそうしたことを念頭に作業しながら、実習でも指摘された   "細部への注意(気配りや短期記憶の保持)"を徹底するためのメモリーノートの導入や、   "現状の検証(今、何が目的で、その為に何をしているのか)"などを場合によってはスタッフの方にも意見を求めたりしながら徹底したことで、    今回の"結果"である『就職』を迎えられたのではないかと感じます。    もちろん『就職』はゴールではありません。  むしろこれから上を目指す私にとっては大いなるスタート地点です。  ですが、とりあえずの一里塚として、今は素直に祝わせていただきたいと思っています。    これからどのような事が職場で待ち受けているのか、期待と不安に心は打ち震えています。  ですが問題に陥った時こそ、これまでの人生や訓練で修得したことを実践し、振り返ることで問題を解決して行ければと思います。    これまでの一年半、どうもありがとうございました。  そしてこれからも、なにかあればご相談させて頂ければ、と思います。    まずは一幕目のお別れをば、くらのでした。