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『就職が決まりました。みなさまへのメッセージです。 S』
この度就職が決まりました、利用者のSです。
ブログではご無沙汰となりますね。
クロスジョブでの日々は、出来事や考え事が多すぎてとても1つの記事にまとめられそうにありません。
できるだけみなさまの参考になったらいいな、という点に絞って書きますので(それでも少々長いのですが)、読んでいただけると幸いです。
・がんばらずに生きよう
22歳でうつ病になって気付きましたが、自分を押し殺して頑張り続けることには限界があるみたいですね。
そもそも、周りの人たちも同じようにつらい思いをしながら頑張っていると思っていましたが、どうやらそうでもないようです。
わたしはクロスジョブに通所するようになって、あるいはたまたまかもしれませんが、自分に自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があることに気づきました。
主治医にも相談して調べてみてもらったところ、やはりその傾向はあるだろうとのことでした。
昔から、「世間のみなさんやクラスの大多数の子たちに全然共感できない。まあ、世の中いろんな人がいるものですなあ」なんて思っていましたが、変わっているのは自分の方だったのです。
薄々ながら、自分の感性が多数派ではないことが多い、というのは中学生あたりから実感していたので、それからは周りに合わせるのに必死でした。
学生のうちは仲のいい数人とだけ関わっていればよかったので楽しく過ごせたのですが、仕事となるとそういうわけにもいきません。
OJTの先輩の期待にこたえなくては。
上司の前では良い部下としての振る舞いをしなくては。
女性の先輩方に目を付けられないようなオフィスカジュアルの服を着なくては。
お客様に対しては失礼のないよう、誠実かつ感じよく対応しなくては。
とにもかくにも結果で示さなければ!
素の自分ではこれらを叶えることが困難なのはわかっていました。
常に周りの顔色を窺って、自分の評価を気にする毎日の始まりです。
第に会社に向かう足は鉛のように重くなり、全身の筋肉が痛み(デスクワークなのに)、食欲もなくなり、毎月風邪をひき、明日の出勤が嫌で泣きながら眠り、浅く短い睡眠しか取れないようになりましたが、「なるほどこれが社会人か。みんなこんな苦痛に耐えてたんだなあ。親なんて子育てまでしてすごいなあ」とある意味のんきに耐えていました。
振り返ってみると簡単に分かるのですが、世の大多数がこんなに毎日苦痛に耐えて頑張り続けているはずがありません。
わたしのように世の大多数の人たちに合わせるのが苦手な人は、無意識のうちに一生懸命周りに合わせようと奮闘しています。
そして大体の場合、奮闘むなしく結果が伴わず、もっと頑張らなくてはと自分を責めてしまいがちです。
「頑張る」というのは、一時的に普段以上の力を出すときに使われる言葉です。
頑張り続けるというのは、無理をしていつも以上のパフォーマンスをすることです。
しかし無理なものは無理なので、うまくいかなくて当然なのです。
わたしは今まで頑張ることが当たり前な環境で育ってきたので、こんな簡単なことに気づくのに時間がかかりました。
頑張り癖がついたわたしは、「がんばって、がんばらないようにする」を目標にしました。
頑張らなくていい環境に身を置くことが、安定した日々の秘訣なのではないでしょうか。
たぶんみんな、そんなにがんばっていません。
一緒に気を緩めましょう。
・スタッフにわがままを言おう
みなさま、クロスジョブの通所、がんばっていませんか?
週5で通うのが精いっぱいで、休みの日は回復のために寝るだけになっていませんか?
訓練が簡単すぎて虚無になったり、難しくてイライラしたりしていませんか?
スタッフの言動が気に入らないけど我慢していませんか?
ぜひ、スタッフに伝えましょう。
優しいみなさまは、なかなか心苦しくてできないとお思いでしょうか。
もしかしたら恥ずかしい気持ちもあるかもしれませんね。
しかし逆の立場になってみると、スタッフの方々は我々のことについて知りたがっているのです。
今の状況が不満なのか?快適なのか?それが分からないと理想的な職場環境を想像できず、支援ができなくて困ってしまそうです。
自分の思っていることを言葉にして相手に渡し、それをそのままの形で理解してもらうのは、想像以上に難しい事です。
しかし幸いにもクロスジョブのスタッフは、その困難を乗り越えようとしてくれます。
こんなに一生懸命伝えているつもりなのに、こんなに伝わらないものか……、とわたしは何度もめげましたが、スタッフの方はめげずに向き合ってくれました。
とにかく対立を避けようと生きてきた自分にとって、ぶつかるのを覚悟で自分のことを伝えるのは初めての試みでした。
簡単な道のりではありませんでしたが、その甲斐あって、クロスジョブへの通所は週3または4回の午後から、訓練内容も「あれがこう嫌でこうならまだマシ」などと文句を言い続けた結果初期とは大きく変えてもらえました。
頑張らなくてもいい環境は、特に私たちのように”ふつうに”働く上での障害がある人にとって、自分で作り上げる必要があります。
しかし、頑張り続けてきた人にとって、頑張らない=わがまま、という風に感じるかもしれませんね。
私たちのわがままは、人より楽してやろうというつもりのものではありません。
「人並みのしんどさ」で仕事をするために必要な条件を述べているだけです。
「なにかと疲れやすい。フルタイムで働いたら疲れて土日は動けない。
朝起きるのがしんどい。寝坊で遅刻するんじゃないかと気が気でない。
服装と髪型は仕事の支障にならない限り自由にさせてほしい。」
これが、この度の就職でわたしが叶えてもらったわがままです。
週4の午後から勤務、さらに雇用保険に入れるよう勤務時間の調整までしていただけました。
相手企業のご厚意の賜物であるのはもちろんですが、クロスジョブで”わがままを言う練習”をしなければ、また頑張って自分をすり減らす働き方しかできなかったかもしれません。
頑張らなくていい環境を手に入れるために、まずは、スタッフを相手にわがままを言う練習をしましょう。
できるだけオブラートに包まずはっきり伝えましょう。
正規雇用フルタイムで働ける人々(スタッフ)と、病気や生まれつきの性質によって就労に難を抱える私たち(利用者)では立場が大きく違います。
海にいるイルカと砂漠のハムスターが分かりあうくらい、スタッフに気持ちを分かってもらうのは難しいのです。
自分ではわがままだと思っていることが、案外すんなり受け入れてもらえることもあります。
わがままを実現するにはどうすればいいか、一緒に頭をひねってくれます。
企業に伝えるときに、角が立たない伝え方を一緒に考えてくれるでしょう。
(もちろん、衝突することもありますが……)
何より、悪口や愚痴でも自分のことを包み隠さず伝えることで、スタッフはより私たちのことを理解してくれるようになるはずです。
何かあったときに何でも言える関係性の支援者がいることは、クロスジョブを卒業した後でも心強い存在になるでしょう。
・人との関わりを諦めないでいよう
人間関係、不安の種ですね。
人に嫌な気持ちにさせられないように、逆に、人を嫌な気持ちにさせないために、人との関わりをどうにか避けて生きていきたいという方がいらっしゃると思います。
わたしもそのうちの一人でした。
コミュニケーションも集団行動も嫌いじゃないのに、なぜか浮いてしまってなじめない。
自分の何がいけないのか分からないが、何かが違うのだろうということだけは分かる。
その結果、ずっと周囲の様子をうかがって、自分の言動に間違いがないかをセルフチェックし続け、それでも良い結果が出るとは限らず、やがて疲れて嫌になってしまう。
なにより、自分を偽って演技し続けるのが苦痛でたまりません。
ならいっそ、誰とも関わりを持たずに生きていければ、こんな悩みもなくなるはず。
そう思う気持ちはとてもよくわかります。
そんなわたしが今回の就職先を決めた理由は、驚くべきことに、”人”なのです。
どの実習先でも企業の方は優しく接してくださいましたが、一番自分が緊張せず、楽にいられると思ったのが就職先の企業でした。
仕事内容やコミュニケーションがわたしの負担になっていないか逐一気を配っていただいて、勤務時間に関しても「体調に合わせてわたしのやりやすいようにしてくれたらいい」と言っていただけました。
人数も少なく、実習中に全員とお話しすることができました。
この人たちとなら、もっと信頼関係を深めていけるんじゃないか。
そんな希望を持てたのです。
そう言ってもらえるほどの関係性を築けたのは、クロスジョブでスタッフと何度も話し合い、どうすれば自分の理想の働き方ができるかを考えて企業へ伝えていただいたからです。
人間関係が苦手なはずなのに、結局人に助けられているのです。
なんとも不思議な感覚ですね。
こればかりは具体的にどうすればいいかを伝えることができなくて申し訳ありません。
たまたま上手くいっただけでしょ、と思われるかもしれません。
その通りです。たまたまです。
どうかみなさまにも、素敵な”たまたま”が訪れますように。
願うしかできないことをお許しください。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
偉そうにアドバイスの形で書いてきましたが、ただ就職が決まっただけなので、あっけなく舞い戻ってくる可能性もあります。
その時はどうか、大いに笑ってやってください。
それでは、みなさま、ぼちぼちやっていきましょう。
以上、利用者Sでした。