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Nさんのインタビューの後、青果のご上司のSさまにもお話をお伺いしました。
責任感持って仕事してくれてる
CJ:Nさんの面接をなさったのはSさまですか
S:いえ、僕ではなく業務スーパーの統括で担当しているものがいます。
CJ:始めにNさんと会われた時の時の印象って覚えてらっしゃいますか
S:だれでもそうだと思いますけど、緊張してる面持ちでした
CJ:他のパートさんと特に違いは感じなかった…
S:僕は特に感じてません
CJ:入社された時と比べて“変わったな”と思う部分はありますか
S:彼にも言ってるんですけど、責任持って仕事してくれてます。
例えば、ある日にトマトがこれだけ売れました、そしたら明くる日に
“何ケース要るな”と勘定して仕入れに行くんですけど、Nさんの方からも
『〇〇ケース仕入れて下さい』とリクエストをくれます。それをしようと思ったら、
把握しないとできないでしょ?
CJ:そうですね、何がどれだけ売れてるか見てないと…
S:そういうのが分かって来てます。後は自分の休み前にはストックが
どれだけ要るか、『玉ねぎ10ケース要るから作って帰らな』と思ったら、
残って作ってくれたりもします。そういうところで『責任感持って仕事して
くれてる』と僕は取ってます
CJ:なるほど
“ハンデを背負っている”って思ったことは一切ありません
S:これからの課題で言うと、今は“働き方改革”で長時間就業できなく
なってるでしょう。そこで、段取り良くするにはどうしたら良いか、僕らも指導
していくしNさんにも対応してもらう。
僕もいろんな人と仕事してきてますが、教えて三週間でできるようになる人がいます、
半年かかる人もいます、一年かかってようやく覚える、っていう人も一杯見てきました。
その中で3週間で覚えた人が素晴らしいのか、というとそうでもない
CJ:それはなぜですか
S:早く覚える人は仕事を要領良くしてくれれば良いんだけど、
手の抜き方を覚えたりする人もいます。だけどNさんはそういうところ無く
一生懸命してくれています。これまではそれでいいですが、
彼にも成長して欲しいというのが僕の中にあるので、これで満足するんでは
無しに『もうちょっとレベルアップしていこう、
今まで10分かかってた仕事を8分で出来る方法を考えよう』 とか
『今これぐらいの(手を広げて)守備範囲だけど、これぐらいに広げよう』と。
そのために『これはできない』では無くて『どうやったらできるか』を考えましょうと。
Nさんが“ハンデを背負っている”って思ったことは一切ありませんし、
接しててそういう目で見たことも無いです。仕事してもらう以上みんな一緒です。
覚えるのが早い・遅いのも人それぞれです。
CJ:はい
どこでも通用する戦力に
S:今Nさんには表の玉ねぎ・人参・ジャガイモを担当してもらっていますが、
ゆくゆくは全部見てもらおうと考えています。いろんな野菜・果物の良し悪しを見て
わかるようになってもらいたい。(売り場に)出し終えてから見るんでは無くて、
出しながら見れるようにスキルアップして欲しい。今はそうなっていく段階です。
いっぺんに10は求めません。一つ一つ一生懸命してもらえれば良いです。
あとは接客中に一度にたくさんに言われると、どういう風に答えたら良いか分からなくなる。
最初のうちはその“分からない”という答えが出てこなかったんです。
“なんで分からないんかな”というと知識がないから答えられない。
だから聞かれると困る。だけども一個一個教えてあげればお客様に答えられる。
そうすると今度は接客するのが楽しくなります。『兄ちゃん、これおいしい?』
『食べたらおいしかったですよ』みたいなね。そういうのも覚えてほしい。
私の上司からも『Nさんをどこの青果でも通用するように育ててあげて』と言われてます。
CJ:あぁ、御社の他の店舗でも行けるように…
S:いや、Nさんのお家の近くにもっと条件が良いところがあればそこでも働けるような…
CJ:野菜売り場であればどこでも通用するような、ということですね
S:そうです。『そういう風に育てて下さい』と言われてます。
今でも、青果全体を任されると大変だけど、どこへ行ってもある程度は通用するだろうと思ってます。
ウチも来てもらう以上は戦力として考えてるのでそのつもりで育てます。
花の有るホームランバッターやエースではなく脇役で結構なんですよ。
だけど一流の脇役、そんな風に一緒に仕事しながら育てる。そのために他の人とのコミュニケーションもとれるように。
人と接することで社会に溶け込んで行ける…今までそういう経験をあまりしてないから内に籠っちゃうというか、
でも仕事を通じて一歩踏み出せるっていうのをできればなと思っています。
生鮮部の上司にも社長にもそう報告してます。その上司にも『障がい云々は関係あらへん。
売る以上は戦力として、キッチリとどこでも通用するように育ててや』
とはっきり言われました。エースや4番だけではチームにならへん、控え選手や裏方さんもいてチームです。
そういう意味で、Nさんにとってどこが適材適所か、各人に合ったやり方でしていければな、というのがあります。
Nさんは時間が来たら床掃除をしてくれます。他の人たちは僕の見る限り
『いやそれは優先順位が上ではないので』としない場合もあります。彼は“ゴミがいっぱい溜まった”って
いうのがすごい気なるタイプなんです。たまには『いやゴミ捨てより品出し先してや』と思う時もあるんです(笑)
でも“気になる”っていうのはそれだけ責任持ってやってくれてるんです。
CJ:よく気が付くんですね
S:それをさらにレベルアップさせようと思ったら、優先順位を決めてゴミ捨てよりも先にお客様が
待ってる品出しをする。モノを売って初めてお客様からお金をもらって、給料をもらっている。
という優先順位をこれからの課題として教えていってあげたいと考えています。戦力ですから。
働き出して3年近くなりますけども、やりがいとか楽しさがなかったら続けるって大変じゃないですか。
またここみたいなハードなところで
CJ:はい
S:“時間が来たら帰る”のではなく残ってしてくれるのはなぜなのか、Nさんも何かを感じて仕事を
してくれてるというのを僕も信じてます。だから差別も区別も僕はしません。
CJ:わかりました。ありがとうございます。
お忙しい中、熱いお話をお聞かせ頂きました。
何度も『障がいは関係ない・戦力として考えている・成長して欲しい』というお話がありました。
『一人の人間』として接しておられる、厳しさの中にも温かみを感じる言葉だと思います。
障がい者・健常者関係なく、会社・人との『出会い』がその人の人生に大きな影響を与えます。
Nさんの『学びたい・成長したい』という思いがSさまとの出会いに結びついたのだと思います。
このご縁を大切に、これからもお仕事を続けて頂きたいと思いました。