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◆今回3年勤続表彰を受けられるKさんがお勤めの、愛眼株式会社に伺い、お話を聞かせていただきました。 愛眼株式会社は眼鏡、サングラスをはじめとしたアイウェアや、その関連商品を幅広く扱っておられる企業です。 Kさんは大阪にある加工センターに勤務しておられます。   【インタビュー】 お話頂いた方:愛眼株式会社 加工センター係長 松本さま(以下 Mと表記させて頂きます)、 愛眼株式会社 加工センター Kさん(以下 Kと表記させて頂きます) インタビュアー:クロスジョブスタッフ(以下 Sと表記させて頂きます) ※Kさんには予めアンケートで質問内容についてお答えいただいています。   ◆お仕事内容と3年間での変化 S: Kさんの現在のお仕事内容を具体的に教えて下さい。 M:ネジで止めているタイプの縁無し眼鏡の、最終的な組み立てです。小さなパーツを使ってメガネの形に仕上げていくという、かなり難しい作業ですが、それをメインでやってもらって、手が空いたらほかの作業も手伝ってもらったりしています。 S:最初からそのお仕事をされていたのでしょうか? M:最初からではありませんが、組み立ては割と早くからやってもらっています。最初は基本的な作業の練習をやってもらっていました。ある程度それが出来て、組み立て作業もメインで出来るようになり、今では任せられるようになりました。 最初は1個作るのに1時間ぐらいかかっていましたが、今は早ければ15分ぐらいで出来ています。3年でかなり成長してくれています。 S:そうなんですね。種類によって難易度は変わりますか? M:種類というよりはお客様の度数、眼鏡のレンズの種類、厚みによって変わります。薄いレンズは割れやすく、フレームも材質によっては調整し難いので、そこを見極めてバランスをとっていくのは、慣れていても時間がかかりますね。 S:これまでKさんが作業に取り組む中で、大変そうだったことはありましたか? M:不安症、ですかね?最初の頃、難しそうなものは「無理です」、「やめときます」とか、自らシャットダウンしておられました。こちらとしては教えて、見守って、助言するという対応で、少しずつ経験を積んでもらいました。そうしたら「まあ頑張ってみよう」みたいな感じで続いてきて、今ではもう何も言わなくても出来るようになっています。 S:すごいですね。最近はそういった「やめときます」等は? K:言ってないです。経験を積んでコツが分かったり自信がついたからかもしれません。 S:なるほど。業務に取り組む中で自信がついてきたのですね。 M:最初の頃はクロスジョブのジョブコーチ(以下JC)さんが1~2週間に1回くらい来てくれていたので、それもかなり助けになったと思います。 K:はい。仕事について、今はしんどくても後で出来るようになるからって言ってくれました。 S:どうすればお仕事に取り組みやすくなるかを一緒に考えたりされましたか? K:はい。そうしたら少しマシになりました。 M:最初の頃は、直接言い難いことや、どのようなところで悩んでるかをJCさんから聞かせて貰いました。成果の見えにくい基礎練習の中で、ちょっと上達してきた時にもJCさんに会社の思いを伝えてもらって、「本人も嬉しそうでしたよ」と言葉を貰ったりもしていました。失敗して、しんどくなった時も支えてもらっていたようです。やはりそういう人がいないと、会社に出て来られなくなってやめてしまうことが多いので、こちらとしても、今後はそういうサポートのついている方を雇用したいと思っています。 S:そうでしたか。Kさんにとってもジョブコーチの存在は大きかったですか? K:そうです。 M:まだ慣れていなかった頃、JCさんの提案で日報をやりとりをしていました。直接褒めるのは苦手なので日報で伝え、注意するときも日報を使いました。何か悩みがあればそれも書いてもらいました。1年経って、基礎練習が終わり組み立てメインになって、休むのも減ってきた頃、JCさんとも話して、本人も書く事がなくなってきたみたいだし、日報はもういいかなとなりました。「何かあったらすぐ言いや」と言っていたので、もう大丈夫かなと。 S:なるほど。会社の方とKさんで直接やり取り出来るようになって来たのですね。   ◆会社からの信頼と精神的な成長 S:Kさんは元来の器用さが活かせると思われてこのお仕事を選ばれたのですか? K:最初は全然思いませんでした。不向きかなと思っていました。 S:現在のお仕事内容からは意外な気がします。では採用の決め手を教えて頂けますか? M:コツコツと真面目に取り組んでくれそうな人だと思ったからです。 ただ、他にも手帳を持っている人はいたのですが精神障害の方は初めだったので、不安があるというのはどこまで大丈夫なのかなというのはありました。実際、しばらくの間は、失敗した後に休むこともありましたが、「続けて2日以上は休まない」というのを信じて待っていると出社してくれました。本当に2日休んでも3日目には来るなぁと思いましたね。 S:家で2日いろいろと考えて、切り替えて、よしがんばろう、となるのですね。 M:今は連休しなくなりました。精神的にも強くなってきてくれた感じがあります。 S:失敗できないお仕事で、最初の頃は不安がかなり出たのでしょうか? K:傷が付いたらダメなので、リスクが大きくて。今も少し不安です。 S:それでもがんばっておられるのですね。   ◆今後について S:これからのKさんに求める事は何でしょうか? 本:後輩が入ってきたときに教えてくれることが出来ればいいと思います。全部は無理でも一つ一つ出来るようになって、Kさんがいたら助かるなという存在になって欲しいですね。 技術的な面では、面取り、組み立てが出来るのは結構な実力ですし、バランスを見るのが大事だということも分かって来られたので、いろいろな仕事に挑戦していけると思います。今は手が開いた時に、メッツ加工という分厚いレンズを削って薄く見せる作業に新しく挑戦してもらっています。 S:やってみてどうですか? K:難しい。面取りよりはるかに難しいです。 M:覚えることはたくさんありますが、一気にそこまで行くのは難しいでしょうから、メッツ加工と面取りが出来たら非常に助かります、と言っています(笑)。   ◆インタビューを終えて 不安と戦いながらお仕事を続けていくために、会社の方の何でも言っていいという雰囲気、Kさんの可能性を信じて長い目で見ようとして下さったところ、ジョブコーチのサポートを受けながらのソフトランディングがとても良かったのだと思いました。 M様の「Kさんへの期待はずっとしています。Kさんなら出来るのにな、と思って。新しい仕事を振ったとき、無理ですと言われても中々折れなかったりもしました。まぁ、ちょっとやってみよう、って。」というお言葉に、雇用管理の一つの理想が見えた気がしました。 また、新しいことへの不安を抱えながらも、取り組み続けたKさんの姿勢にも「働く」ことへの静かな熱意が感じられました。 お忙しいところ、貴重なお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。   《インタビュアー》  クロスジョブ阿倍野:杉原  クロスジョブ阿倍野:田中