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今回は鴻池運輸株式会社様の関西支店の尼崎南営業所様にご訪問させて頂きました。鴻池運輸株式会社様は物流サービスだけでなく、鉄鋼・食品・化学品業界など製造業界向けの請負事業や、空港関連事業や医療関連事業などをはじめとしたサービス業界向けの請負サービスを提供されている企業様です。
クロスジョブ梅田からはKさんが就職されました。Kさんはトライアル雇用を経て、現在3年以上勤務されています。今回は尼崎南営業所 所長の中島様とKさんに、業務内容だけでなく、3年間働き続けた現在の心境についてインタビューさせていただきました。
〈インタビューにご参加頂いた皆様〉
○鴻池運輸株式会社 尼崎南営業所
・クロスジョブ梅田OB K様
・所長 中島慶士郎 様
〈訪問者〉
・クロスジョブ梅田 大倉
・クロスジョブ梅田 坂本
<Kさんへのインタビュー>
◆現在のお仕事の状況について
K :勤務時間は8時から16時45分です。
大倉:お仕事はどのようなことをされていますか?
K :専門職として現場作業に従事させていただいています。
中島:主に従事していただいている業務は、産業廃棄物の放射線測定業務です。放射線は身体に影響のない低いレベルのもので、処理場に持っていく前にどのくらいのレベルかを、器械で計測していただいています。置場での計測とダンプに積み込まれた状態での計測があります。時間は2分くらいでしょうか?
K :置場で2分、ダンプ上で2分の、2か所で合計4分です。
中島:他にも塩化物が付着したレンガの水洗処理をしていただいています。ホースを持って水を掛け、塩化物を流して処分できる状態にします。これも屋外の仕事なので結構大変ですね。2~3人での業務になります。
K :そうですね。数人で作業しています。
大倉:お仕事の流れを教えていただけますか?
中島:ダンプカーは連続して来るのではなく、定期的に来るため、入ってきた時に計測します。その合間に水洗作業をしています。その他にも、フォークリフトで運搬する空ドラム缶の積み込みの補助などもしています。
大倉: 1日身体を使う体力勝負のお仕事ですね
外の仕事で、この季節は一番熱い時期になりますが、大変ではないですか?
K :熱中症には注意しています。
大倉:そうですよね。月によって繁忙期があるなど、業務量の変動等はありますか?
中島:お客さまの生産量が多くなれば、Kさんの仕事も必然的に多くなります。ここ数年は安定してきているため、比較的忙しい状態が続いています。
◆3年間働かれて、現在の思いや自身の変化点について
K :自分の中では変化はほとんどないです。
大倉:Kさんが関わっている支援センターの所長さんに話を聞くと、新しい仕事があると聞きました。業務の幅は広がりましたか?
K :業務の幅は広がっていますね。自分の代理の人がなかなかいないため、任される仕事ですね。
大倉:任される役割で責任を感じるところですね。自分が頑張らないと、と思うのですね。
K :はい。
大倉:お仕事のやりがいは、どのようなところで感じられていますか?
K :「やりがい」というより、「使命感」です。周りにできる人がいないため、自分でやっていかなければならないと感じています。
中島:人数が少ない中で、測定はKさんが完結して行う、という形でしています。自分で測定して、数値をパソコンに入力し、お客さまにメールで送っています。その業務はいつからしていますか?
K :(雇用の)初日からです。パソコンに関しては、忙しい時は合間に上司や同僚が手伝ってくれます。お客さまにメールを送る時間帯と、リーダーがパソコン業務をされている時間が被ることもあり、自分が忙しい時は代わりにメールを送っていただくこともあります。
◆働く中で大変だったこと
K :それはなかったです。自分の場合、大変だなと思うのは人間関係の問題です。仕事自体は全体的にしんどいことはないです。
大倉:クロスジョブに来られている人の中でも、仕事自体というより周りの人たちの繋がり方で悩まれている人が多いのですが、Kさんも人間関係に悩まれた時はどのような時でしょうか?
K :メンバーの中で相性があまりよくない人がいる時に、ペースダウンしてしまうことがありましたが、そのようなときは周りの方にサポートしていただけました。
大倉:周りの方がアドバイスしてくださって、乗り越えていっているのですね。人間関係以外の、働いていく中で大変なことはありますか?
K :特にありません。
大倉:仕事量が変わってくるなど、新しいことを覚える時は大変ではなかったですか?
K :今のところはないですね。
◆継続勤務ができている要因やモチベーション
K :自分の中では、この会社に入って忍耐力がついたと思います。
また、リーダーやメンバーの方々のサポートがあって、続いていると思います。
大倉:「忍耐力がついた」ということ、「周りの方のサポートの大きさ」が続いている要因ですね。忍耐力とは、踏ん張るということでしょうか。
K :大変なことに対して、耐えられるようになりました。
大倉:周りの人が声をかけてくださり、そこでぐっと耐えられるのですね。
人と関わる中でアドバイスをいただいていることが大きいですね。
◆クロスジョブでの訓練について
大倉:訓練の中でも、メモを取る練習や、分からないことについて自分で聞くことに取り組まれていたと思いますが、訓練が役立ったことはありますか?
K :分からないことを発信することやメモを取ることですね。分からないことを質問する時に、どんな聞き方などすればよいかなどを学び、声をかけられるようになりました。
◆入社の決め手・休日の過ごし方について
大倉:鴻池運輸株式会社様ではトライアルを経て入社されましたが、ここを選ばれた決め手はなんですか?
K :決め手として、生活をしていかなければならなかったことや、家族から就職して欲しいと話があったことです。年齢的にも決めていきたいと考えていました。
大倉:大事なことですね。生活をしていくために、働こうという思いがあったのですね。鴻池運輸株式会社様で働くことができると思ったポイントはありますか?
K :すぐに思いつきませんが、この職場は、最後の職場だと考えています。年齢的にも自分にとって最後の砦みたいに考えています。
大倉:お給料の使い道や休日の過ごし方で、何か楽しみはありますか?
K :映画館に行くことです。
◆仕事の目標について
K :目標は熱中症で倒れないことや怪我をしないなど、健康面です。
大倉:体を使う仕事のため、体調管理の部分ですね。
◆サポートを受けて働くことについて
大倉:障害者雇用をし、生活のことも含め、サポートを受けて働くのは初めてですか?
K :初めてです。
大倉:福祉のサポートを受けて働くことと、一般で働かれてきた時の違いはありますか?
K :サポートしてもらえることは感謝しています。サポートが「ある」と、「ない」では違います。
大倉:「ある」と「ない」では、どのような違いがありますか?
K :「ない」ときは自分でやっていかないといけない。サポートが「ある」と、もし困ったときに相談する人がいることが良いです。
<会社様へのインタビュー>
◆Kさんの印象について
中島:職場のリーダーからよく聞く話では、一つひとつのやらないといけないこと、覚えたことは確実に実行してくれています。本人からコミュニケーションをとるタイプではないため、会社としてバックアップをして、こちらからいろいろ「大丈夫か」など、フォローをする必要があると思いました。ただ、職場のリーダーがその点において長けているため、きっちり日頃から、朝の出社時やミーティング、休憩でも本人に声をかけ様子を聞いてくれています。
◆現在の体制について
中島:現在Kさんがいる職場は6人体制で、グループリーダー、サブグループリーダーに加え、スタッフはKさん含め4名です。リーダークラスは障害者雇用について理解していますし、会社としてもKさんには居ていただく必要があると理解しています。Kさんもそれに応えていただいており、きっちりと覚えたことに対しては、黙々と仕事をしてくれています。真剣に取り組んでいただいているため、助かっています。
◆障害者雇用について
大倉:鴻池運輸株式会社様とは、他の営業所様とも連携させていただき、クロスジョブ堺からも就職者の方がいらっしゃるのですが、尼崎南営業様では、Kさん以外で他に障害者雇用されている方はいらっしゃいますか?
中島:いません。尼崎南営業所では派遣社員も含め50名弱在籍しており、2.2%というところで1名となっています。各営業所に、必要な人数がいない場合は、会社として支店や本社側からのバックアップもあり、採用するために、どのような仕事ならできるか、ヒアリングなどもあります。ここ4~5年は会社として強化しています。
大倉:Kさんが初めて雇用され、リーダーの方をはじめ、周りの方々は関り方やどのようなサポートがいるか、悩まれたかと思います。今回お話を聞いていると、とても自然に色々声をかけて下さっていると思いました。会社の方針や考え方が現場の皆さんにも行き渡っていて、「支えよう」というところや、雇用していくという土台があると感じました。
中島:そうですね。当社の業務は物流事業だけではなく、様々な業務を行っており、その中で製造請負業の比率が高くなっています。マンパワーに頼ったさまざまな作業をさせていただいているので、人を大事にしていかないといけない、人がいないとお客さまから任された仕事ができないということになります。人を大事にして、育てていく考えを、職場全体として持っています。
◆Kさんへの配慮について
中島:Kさん自身は、暑さには強いと話してくれていますが、この季節は特に暑いため熱中症関係には配慮しています。Kさんは「いけます」「がんばります」と言うタイプのため、リーダーもよく気に掛け、声掛けしています。スポットクーラーを配置して、休憩する場所も作っていますが、「無理をしない」「させない」配慮はしていかなければならないと思っています。今着てもらっている作業着もファンが付いているものです。去年から着てもらっています。まずはKさんが着てもらい、今年は職場全体で配布しました。
大倉:体調以外で特別に配慮するということはありますか?
中島:声かけです。職場全体でしています。それから個人面談も実施しました。
Kさんが人間関係でストレスにならないようにしています。気を取られてしまうと、仕事のミスも増えてしまいます。仕事の安全上、考え事をしていると集中も切らせてしまうため、そのあたりは気にしていくことだと思っています。
大倉:先程の個人面談について、定期的に行われているのでしょうか?またKさんだけでなく全体でしょうか?
中島:定期的に全社員にしています。リーダーなど職制がいろいろありますが、言いにくいことや伝えておきたいことなどを言える機会を作っています。会社側からも面談をするように指示があります。
大倉:Kさん自身は個人面談が定期的にあると、相談できるなどの違いはありますか?
K :違いは大いにありますね。
大倉:日頃思っていることなどもお伝えできる機会があると、気持ちがすっきりするなど、相談できるのはいいですね。
K :そうですね。
大倉:Kさんのことは、リーダーさんを軸にみんなで理解を深めていこうとされていたのでしょうか。
中島:そうですね。
◆就職する際に、必要な準備について
大倉:今後、さまざまな障害がある方を雇用する機会もあるかと思いますが、働かれる前にこのような準備を整えてきてくれると良いと思うことはありますか?
中島:難しいですね。まず、Kさんは、現在まったく欠勤もなく、遅刻もないです。突発的に休んだりすることなく、時間を守れることや挨拶をする、責任感を持つ、言われたことはきっちりするなど基本的な事が大切だと思います。
大倉:仕事のベースになるようなことでしょうか?
中島:仕事面で言うと、重機やフォークリフトの運転免許などがあると尚良いのですが、それ以外のところですね。言い始めたらきりがないくらいです。
大倉:仕事をする際に前提となる力についてですね。
中島:職場に溶け込めるようなことですね。挨拶や遅刻欠勤しないことなどを積み重ねていけば、職場でも受け入れていってもらえると思います。
◆Kさんの雇用に関して、大変だったこと
中島:それはないです。職場でのバックアップを本当によくやってくれています。リーダークラスがしてくれているのをすごく感じます。リーダーにも、Kさんにも話を聞いても、その話はよく出てきます。リーダーとサブリーダーにはKさんも信頼してくれています。
大倉:信頼がお互いに持てるようになるまで、Kさんも努力され頑張られた成果でもあるかと思います。いい形の関係ができていらっしゃるのですね。
◆障害者雇用をしていく中で大事にされていること
中島:従事していただく仕事を準備することです。分かりやすい仕事から始めていって、徐々に能力に応じて増やしていく形です。最初からたくさんの仕事を一気に覚えるのは誰でもしんどいことです。また、職場のメンバーに理解してもらうことですね。
大倉:ご本人の能力に応じてやれるところからステップアップを一緒に考えていく、というところでしょうか。
中島:そうですね。
大倉:現場の方の理解ということが、難しさを感じることが多くありますが、実際にお互い理解を深めるような取り組みは何かありますか?
中島:毎日話ができるわけではないため、職場に行ったときに話をする機会を作り、少しでも変化がないか、感じるようにしています。
◆最後に、今後Kさんに期待すること
中島:今でも仕事の種類が増えてきて、よく頑張ってくれていますが、さらに増やしていってもらえればと思います。この職場にKさんが必要であるということで、今以上に居場所を作り、本人が「仕事が楽しい」と思ってもらえたらいいなと思います。
大倉:Kさんがコツコツと責任感をもってされてきたことで、職場の方がサポートしたいと思ってもらう土台・関係がしっかりとできていると感じました。障害者雇用の話だけでなく、働き続けるということは周りの人とお互いに認め合っていくことが大事かと思いますが、その環境がしっかり作られていると思いました。
<インタビューを終えて>
インタビューの中で、現場の方々や所長様が、ごく自然とKさんのことを気にかけ、声かけしているご様子を伺うことができました。その環境こそが3年間続けて勤務できたことの理由であり、Kさんと周囲の方々が培ってきた環境であると感じました。Kさんは仕事をしっかりこなし、周囲の方々はKさんが仕事をしやすいように声掛けや苦手な面のサポートを行い、お互いの働きかけがあったからこそ、現在の環境と勤続が続いたのではないかと思います。障害者雇用をするにあたって、互いに準備を整えていかなければならないことも数多くありますが、どちらかが大きく負担になるような形ではなく、互いの気持ちがあってこそ、勤続雇用に繋がるのではないかと思いました。
また、鴻池運輸株式会社様が「人」を大切にされており、社員の方々と対話することの大切さを重視されていたことも大きく影響されていたと感じました。変化に気づくために常々気にかけ、話を聞くと話されていたのを聞き、定期的に報告相談する体制がいかに重要であるか改めて感じることができました。